先日、谷崎潤一郎も訪れたことのある、古い家の調査に入りました。
大正末期から昭和初期に掛けて建てられたと思う数寄屋です。数寄屋とは茶室の思想を取り入れた住宅の事で、華美な装飾を嫌い洗練された内面的な美を追求した家です。
書院造りの様な格式や様式と云った固定的な概念が無く、施主や大工さんが自由な発想で、客をもてなす趣向を凝らします。
住まう人の都合で若干の改造はしてあるのですが、それでも尚数寄屋建築の姿を現代に伝えています。
クライアントの依頼は、今風に快適な住まいに改装して欲しいとの事ですが、この家はもの凄い。
修復はする気になっても、改装なんてとても勿体無くて出来ません。耐震性や温熱性は今の家と比べると劣りますが、それには変えられない日本人の心が宿った家です。
和風住宅が建てられなくなった背景には、耐震性能・温熱性能との戦いに敗れた背景があります。夏を旨とする日本の家屋は、開放性に富み自然と一体化する事を拠り所にしています。そのことが温熱性能を悪化させ、耐震壁の少ない地震に弱い家にしています。
耐震性能は、技術的に解決出来ても、温熱性能は開口部の大きさに直結します。まして気密性能の悪い木製建具でないと、意匠的に許容出来ません。居間や応接間なら開き窓にして木製建具でも気密性を高めることは出来ますが、和室になると隙間だらけの引き違い窓になってしまいます。
改修工事をするなら、夏の住まい方と冬の住まい方を分けるような提案が必要になるでしょう。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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住宅性能表示制度や長期優良住宅やエコポイントにも対応する、環境とお財布に優しい住まいの提案
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経済的な熱損失計算(性能基準)で、次世代省エネ基準を取得できる提案をします。
構造等級3を基本にご相談いたします。木造三階建て等で行う応力度計算も自社で行いますので、意匠と構造の齟齬がありません。
また、IAU型免震住宅設計資格取得者として、免震住宅等の相談も行っています。
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