原子力規制委員会は13日午前の定例会合で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について、今後、優先的に審査を進めることを決定しました。
津波の想定高さや最大級の揺れに対して設計値が上回ったために、安全と判断された模様です。
ここで想定される最大級の揺れと云うのが重力加速度(gal)という単位で表される力です。今までの原発で指針とされていた基準の540galを620galに引き上げた事により安全と判断されたとの事です。
一般の建物で揺れの指標とされているのが400galですので、確かに原発の620galは大きな揺れに耐えうる値なのですが、はたして本当にこれて良いのでしょうか。
一般にgalと云う単位はなじみの無い単位ですが、簡単にイメージしますと地震計の地震波の振幅幅がgalに相当します。揺れ幅が大きい程galが大きくなります。関東大震災が400galであった為、日本では400galをクリアする事が目標とされています。大正時代のデータが今でも日本の基準になっているのです。
ちなみにですが、阪神大震災の重力加速度は881galでした。
今回の指針の基準をはるかに上回る重力加速度が確認されているのです。もっと恐ろしい話しをしますと東日本大震災では2000galを超える重力加速度が観測されています。
規制委員会が求める620galにどれほどの意味があるのでしょうか。
ここで、ふと疑問がわいてきます。地震による直接被害は2000galを超える東日本大震災よりも、881galの阪神大震災の方が多くありました。これは何故でしょう。
重力加速度だけでは、建物の被害を言い当てる事が出来ないと云うのが最近云われ始めてます。地震被害の想定も人が造る基準ですので、620galと云う数字そのものが独り歩きしない様にながうばかりです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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