(続き)・・このところ寒い日が続いており、北海道や東北などでは積雪となっている所が多数あります。東京でも昨日などはたいへん寒く、私も久々に冬用のコートを着たほどでした。皆様の所では如何でしょうか。
これだけ気温や天候が変わりやすいと気になるのが体調です。気温や天候、気圧の急変などで体調を崩す方が後を絶ちません。この時期にとりわけ体調を崩しやすいのは「喘息」と「めまい」でしょうか。
ここ数日の間に「蒲田よしのクリニック」へは、喘息やめまいの症状を訴えて何人かが来院しました。いずれもラドン吸入もしくはビタミン点滴などにより症状が安定し、元気に帰宅されました。
前回のコラムで、ビタミンCの1日当たりの摂取量は、厚労省で指定している100mgでは到底足りず、日常を健康に暮らすためには最低でも300~400mgは必要で、状況により1~2gは必要だと説明しました。
そうだとすると、例えば1日にビタミンCを500mg摂取している人の場合、ビタミンCが足りているともいえますが、別の基準によれば足りないともいえます。このようにビタミンCの必要量に幅が存在するのは、どのような理由によるのでしょうか。
実は300~400mgというレベルの用量にも、1~2gというレベルの用量にも、それぞれ存在意義があります。最新の栄養学「オーソモレキュラー・メディスン(分子矯正医学)」では、前者を「栄養学的用量」、後者を「薬理学的用量」と呼んで区別しています。
栄養学的用量というのは、壊血病などの欠乏症に陥らないための用量で、一方の薬理学的用量というのは、もっと積極的に体を健康にする、病気の予防や治療に役立てるような用量を指します。
ビタミンCの場合、300~400mgという栄養学的用量は壊血病をはじめ、ビタミンC欠乏による免疫不全や止血障害、ホルモン異常などを防ぐのに必要な最低限の量です。これを上回っていれば欠乏症を予防できますが、それ以上の健康増進効果、病気の予防、ましてや病気の治療効果は望めません。
1日1~2gあるいはそれ以上の「薬理学的」用量ともなると、様々な積極的な効果が現れます。先ず「抗酸化作用」が発揮され、体内での過酸化脂質の生成の阻害、動脈硬化の抑制などの効果が期待できます。体を活性酸素などによる「酸化」から守り、積極的に病気の予防や進行阻止に働くのです。
それ以外にも免疫力の向上、代謝の促進、コラーゲン線維の形成、副腎髄質ホルモンの産生などを通して、病気の予防や若返り、美容などの分野でも威力を発揮します。例えば免疫力が向上することにより、風邪などの感染症にかかりにくくなり、またガンの予防効果も認められます。
従って全くの健康人の場合は300~400mg程度の用量で充分かも知れませんが、何らかの慢性疾患や体調不良のある方の場合には、それでは到底足りません。食事の工夫を含めて、何とかして1日1~2gはビタミンCを摂取したいところです。
ところが前述したように、現代の食事情では日常の食事だけだと、健康や治療に必要なビタミンCを充分に補給することが困難です。ビタミンCの腸管からの吸収率は意外と低く、体内への補給量に限りがあるためです。
その理由としてはビタミンCが「水溶性」であるため、主として脂質から構成されている腸粘膜に上手く癒合することが出来ず、吸収がブロックされてしまうことが挙げられます。いわば腸粘膜で「門前払い」されているのです。
そこで米国LivOn社はナノテクノロジーを駆使し、「リボソーム」というリン脂質から構成された超微細な球状のカプセルに、ビタミンCを封じ込めることに成功しました。これにより腸粘膜からの吸収率を抜群に向上させ、大量のビタミンCを経口で体内に摂取することが可能となりました。
この技術を応用し、非常に有用なビタミンCのサプリメント「Lypo-Spheric Vitamin C」が製造、販売されており、ガン患者をはじめ様々な病気の患者などに臨床応用されています。もちろん健康な方でも、病気の予防や若返りなどの目的で内服は可能です。
日本に於いては、高濃度ビタミンC点滴療法などの研究と普及に取り組んでいる「点滴療法研究会」のみが取り扱っており、同研究会に属するクリニックでのみ購入することが出来ます。
標準的には高濃度ビタミンC点滴療法の補助的治療として、このLypo-Spheric Vitamin C製剤の内服が行われていますが、軽症の方もしくは健康な方の場合には、通常のサプリメントを内服する感覚で、気軽にLypo-Spheric Vitamin Cを常用しています。
効果の上では、他の一般的なビタミンCサプリメントに比べて、はっきりと優れた効果がみられます。疲労回復や肌の具合の改善に始まり、胃腸の機能向上、関節痛など痛みの軽減、アレルギー症状の軽減、メンタル不調の改善など、幅広い効果がみられます。
ビタミンC血中濃度を調べた研究では、一般的なビタミンCサプリメントに比べて、血中濃度の立ち上がりとピーク値が優れているというデータが出ています。
例えばビタミンCには強力な「抗酸化作用」がありますが、血中濃度が高いほど、抗酸化力もそれに比例して高くなるのです。
これが50~100gという「超高濃度」のビタミンCともなると、本格的な「抗がん作用」を発揮することになります・・(続く)
蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
〒144-0052 東京都大田区蒲田5-27-10 蒲田TKビル1階
Tel : 03-6424-7071 FAX : 03-6424-7072
http://www.kamata-yoshino-clinic.com/ (公式HP)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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