よく有る依頼で、「居間を広げたい」と云うリクエストがあります。
理由を聞いてみると、「狭いから広げる」と判を押した様に帰ってきます。そこで調査に入ってみると居間は決して狭くはありません。狭く感じるのは居間にモノが氾濫している為です。
居間を広げるのは構造上大きな問題があります。居間の殆どが家の中心から南側を占めますので、北側に小さな部屋が集中し、南側と北側で家の強さが異なってしまうのです。東西から地震で揺らされると南側が大きく揺れてしまい、建物の倒壊の危険性が高まります。
また、南側の居間を広げる事は、太陽光が部屋の奥まで届きにくくなり、部屋を広げたからと言って快適な空間が広がる訳ではありません。居間が狭いのは、居間が散らかっているからであり、散らからない方法を考えない限り、居間を広げても散らかる空間を広げたに過ぎません。
居間を広げず、収納空間を増やすプランを提案する方が余程暮らしやすい空間を造る事が出来るのです。居間に、それも手の届く処にモノがあるのは便利です。しかし、それではいつまで経っても狭い居間から脱出出来ません。収納空間を設けて居間からモノを排除する事を考える方が快適な空間になるのです。
居間の中をよく観察して下さい。日常で使わないモノの多さに驚かれるのではないですか?
日常的に居間で使用するものだけ、居間に置いて、その他のモノは収納する習慣をつける事です。収納家具の中を見渡してください。日常使うものがどれだけ入っていますか?殆ど使わないモノで占められていませんか?
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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また、IAU型免震住宅設計資格取得者として、免震住宅等の相談も行っています。
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