小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ就活生への一つだけの苦言
-
震災の影響もあり、今年に就職活動中の学生さんは、例年より何かと苦労や障害が多くて大変だろうと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、一人でも多くの方が希望に見合う就職先を見つけられれば良いなぁと思っています。
そんな就活生の方々を応援する意味で、一つだけ苦言を述べさせていただきます。それは会社説明会や面接でのドタキャンについてです。
今に始まったことではなく昔からそうなのですが、会社説明会には予約した人が全員来るわけではありません。今年に関しては、たぶん企業の担当者は「例年に比べて出席率が高い」と感じている方が多いと思いますが、それでも8割ちょっとでいいところでしょう。もう少し過去にさかのぼれば、4割5割で当たり前という時代もありました。
8割がどういう数字かというと、50人が予約していて、そのうち10人が来ないということです。結構な人数です。「出席できない」との連絡をもらえることもありますが、それはどちらかというと少数で、要はすっぽかされたということの方が多いです。連絡をもらえるのはまだ良い方ですが、前日夜中のメールだったり、開始直前の電話だったり、会社としてはどうにも対処のしようがない形がほとんどです。面接になれば数は少ないですが、それでもドタキャンや連絡なしのキャンセルは結構な数であります。
企業の人事担当者はそういうものだからと当たり前に思ってしまっていて、そんな状況を見越して定員を決めたりして準備を進めますが、普通に考えれば社会人同士が仕事上の約束をしていて、それを連絡なしですっぽかすなんてことは決してあり得ません。でも就職活動では、そんなことが許されてしまっています。
学生さんにもいろいろな事情はあるでしょう。急な学校の用事が入った、志望度が高い他社の選考で急に日時を指定された、内定が決まった、行きたくなくなった、体調不良やその他の事情、等々。それは否定しません。でもそれに対して、大人としての対応ができないものかと思います。
会社説明会に参加してくれる学生さんに対して、会社側は訪問予定のお客様として、それなりに準備をしてお迎えします。来ないとわかっていれば準備はしませんし、もしかすると予約がいっぱいのために参加できなかった他の学生さんがいるかもしれません。面接をするにも、相応の役職の者がスケジュールを空けてお待ちしています。こんな周りの事情にも少しだけ思いを馳せて欲しいのです。
私がお手伝いしている顧客先の新入社員に、このことを聞いてみました。どうしても抜けられない学校の研究や他社の選考が入ってしまい、直前に電話連絡をした経験がある人はいましたが、すっぽかした経験がある人は一人もいませんでした。みんな一様に「そんな人がいるんですか?!」という反応でした。
就職活動の成否というのは、実はこんなごく当たり前のマナーや気遣いが、できるか否かにかかっているのではないかと思います。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
時代とともに「マナー」は変わる(2024/02/29 23:02)
「若者を認めないと上の世代は生き残れない」という話への納得(2023/12/20 21:12)
「良くない個人評価の共有」は教育になるのか(2023/10/05 10:10)
“本来の成果主義”には「成果を高めない自由もある」という話(2023/09/14 11:09)
古くても残った物が価値を生むこともある(2023/07/05 22:07)