小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「うのみにするばかりではいけない「顧客要望」」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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うのみにするばかりではいけない「顧客要望」

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 目に留まった事 2015-12-08 08:00

 あるテレビ番組で、「こんなものがあったら良い」という意見を、実際に試してみるという企画が放送されているのを偶然見ました。

 

 私が見たのは、アパレルショップの店員さんから声を掛けられるのがわずらわしいというお客さんの意見が多いので、お店の入口を“通常の接客”と“声をかけない接客”に分け、お客さんが希望する接客の側から入店してもらうようにするとどうなるかというものでした。

 

 来店したお客さんの意見は、「あまり声を掛けられたくない」「そっとしておいてほしい」「ゆっくり見たい」という人が多く、実験中に来店した人の8割以上が“声をかけない接客”の入口を選んでいます。お客さんにはまずまず好評ですが、店員さんは自分から接客ができないので、手持ちぶさたでかなり暇そうです。

 

 一見すれば、「顧客要望」には応えていて、良さそうな取り組みのように思えますが、実はこの実験中の時間帯の売上は、通常からは信じられないほど低かったのだそうです。顧客からは必ずしも好ましいと捉えられていなくても、声かけや接客など、店員さんの持つ販売能力というのは、売上に対する影響力が大きいということでしょう。

 

 ここから考えれば、「顧客要望」を言いなりでうのみにして聞くのではなく、店員さんの販売能力を発揮させ、なおかつ顧客にわずらわしいと思われない声かけや接客方法を工夫することが、とても大事だということになります。

 

 ただ、実際の現場を見ている中では、顧客満足と称して、顧客から出てきた意見や要望、指摘を、そのまま受け入れてしまおうとすることが多いように感じます。顧客がそれを強硬に要求することもありますし、企業担当者やお店の側が、そうすることが良いことだと信じて思考停止してしまっていることもあります。

 

 例えば、採算を度外視したサービスというのは、あくまで将来の事業のための先行投資として、ある一定期間に一部だけで行うもののはずです。本当に採算度外視のサービスをやり続けたら、企業やお店はつぶれてしまいますが、お店の事情を顧客が知るよしもなく、それが“心がこもったサービス”のように賞賛されたり、いつの間にかそれが当たり前だと思われるようになってしまいます。

 

 ビジネスは「Win-Win」の関係がなければ、長続きさせることはできません。事業が続けられなければ、顧客に満足を届けることは永久にできなくなります。

 目先の「顧客要望」に対して、それをうのみにして応えても、それは本当の意味での顧客満足にはつながらないと思います。

 

 

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