小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ時代遅れもニーズ減少も、生き残れば付加価値につながることがある
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仕事の移動中のすきま時間に、よくカフェを利用します。
最近はスターバックスのシアトルスタイルをはじめとした新しい形態の店が増え、昔ながらのフルサービスの喫茶店は、特に首都圏ではずいぶん減りました。
ただ、このところ私は、この昔ながらの喫茶店もときどき利用します。値段は多少割高であっても、何となく落ち着き感が違うので、たまにそういう空間を求めている時があります。昔ながらのスタイルに付加価値であるという感じです。
客層を見ていると、昔から慣れ親しんでいたと思われる年配世代がいる一方、昔のことなんてたぶん知らないであろう若い世代もたくさん来店しています。“古さ”が逆に新鮮な感覚なのかもしれません。
昔は当たり前であったことが、今となっては付加価値になっているということです。
ちょっと考えてみると、この付加価値は自分たちで作り上げたというよりは、自分たち以外の周りがどんどん変化、多様化し、いろいろなスタイルが出てくる中で、つらさや困難を克服しながら自分たちの形を守ってきたら、結果的に付加価値が生まれてきたというように感じます。
自分たちで仕掛けた付加価値というよりは、工夫と努力で淘汰を生き残ってきたら、全体環境の中で、相対的に付加価値がついてきていたということです。
もちろん古いスタイルの店でも、メニューが今風にアレンジされていたり、内装が工夫されていたりしますから、基本的なスタイルは「変えないもの」として貫きながら、新しいものを導入していったということだと思います。
事業の成功の秘訣として、ある人は「常に変化すること」といい、ある人は「あきらめずに続けること」といったりします。
たぶんどちらも正解で、「常に変化すること」とおっしゃる方にも、きっと変えずに守って来たものがあるでしょうし、「あきらめずに続けること」とおっしゃる方でも、同じく変化を求めて見直してきたことがあるはずです。
事業を進める中では、どちらかと言えば自分たちから仕掛けることに注力しがちですが、周りの変化を見ながら自分たちの立ち位置を守ることで、相対的に自分たちの付加価値が上がっていくこともあるということです。変化と継続の両方が必要ということでしょう。
結局は「状況に応じた適切な判断が大事」ということになってしまうのでしょうが、そんなことを思った一件でした。
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