小笠原 隆夫
オガサワラ タカオWin-Winと思えないビジネスをするモラル
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もう一年近く前の話になりますが、私の家で長らく借りていた月極めの駐車場が、急きょ閉鎖になると言われ、あたふたと周りをあたっていました。
その後、少々遠い場所で妥協して契約しましたが、その直後に、もともと借りていた駐車場を仲介している不動産屋さんから電話がかかってきました。
何でも地主さんから急に連絡があり、駐車場を閉鎖せずに継続するので、また続けて借りてくれないかとのこと。よく聞けば、時間貸しの駐車場に作り変えようと考えたらしいのですが、初期費用があまりに高くて断念したのだそうです。
「何だそれ・・・?!」とは思ったものの、新しく借りようとしたところも快く対応してくれたので、結局元の場所をそのまま借りることにしましたが、私が引っかかったのは、「時間貸しに変えようとした」ということです。
その駐車場は、もう40年以上前に分譲された住宅街の真っただ中にあり、車通りは少なくて周囲の道路も広く、駐車禁止にもなっていないような場所です。要は時間貸しで駐車したい人のニーズが全くないような場所ということです。
地主さんは都内で商売をやっている方なので、たぶんこちらの周辺状況はほとんど知らないと思われます。
・・・で、そんな場所にもかかわらず、「時間貸しにしませんか!」と営業をかけるような業者がいたということです。もしも作り変えたとすれば、初期投資の設備費用や工事費用などで業者はもうかりますが、駐車する人がいるとは思えないので、地主さんはたぶん損をします。相手が事情にうといのを良いことに、こんな話を進めてしまうような業者では、「契約さえ取れればそれでいいのか!」という感じです。
最近も竜巻被害や土砂災害の被災地域で、悪質なリフォーム業者が横行してトラブルになっているという話を聞きましたが、最近はビジネス上のモラルが下がっていると思われるような話題をよく聞きます。
厳しい経済状況の影響かもしれませんが、やっぱりお互いがWin-Winにならないようなビジネスはダメだと思います。
私は誰かと仕事をする上では、「この人、この会社と長い付き合いをする事ができそうか」を一つの尺度にしています。結果的に取引が続かなかったり、ご縁が切れてしまうことはありますが、一方的に損をするような目にあったことは、今のところありません。
もちろん運が良いだけかもしれませんが、目先のことだけに左右されずに相手をよく見れば、おかしなことに巻き込まれる頻度は、ずいぶん減らせると思います。そんな自分の考えが間違っていないだろうと、あらためて確認したところです。
そして今一度、Win-Winとは思えないビジネスを平気でしようとするモラルについて、「本当にそれで良いのか?」と問いかけてみたいと思います。
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