犬の病気　肝機能低下

肝機能低下と言うのは症状名で、正確な診断名は肝線維症、俗に言う肝硬変です。肝臓が硬く萎縮することによって門脈(肝臓に入っていく太い静脈)のうっ血が起こりま。こうなると腹腔内の静脈内の圧力が亢進して、周囲の組織圧よりも高くなってしまいますので、血液中の液体成分が染み出ていくようになります。これが腹水です。これは肝機能障害の末期の状態で、肝移植以外に治癒することは望めません。
残念ながら、十分な治療を続けて約1月くらいと思います。

残された日々を、幸せな形で過ごさせてあげて下さい。

腹水が溜まる原因はいくつかあります。
老齢で心臓の動きが弱くなったり、フィラリアが寄生していたり、心臓内部の構造の変化に伴う血液の逆流などの循環器の問題がある場合。血液中の蛋白質が腎臓や腸などの消化管から尿や便として漏出してしまっている場合。お腹の中に癌のような塊がある場合。
炎症や老齢による変化で肝臓の機能が異常になった場合などがあげられます。
今回血液検査などの結果から肝臓の機能が低下したことによる腹水貯留という診断をうけたようですが、肝臓の働きのひとつである糖質や蛋白質の合成ができなくなったことによると思われます。
合成できなくなってくると、血液中の濃度が薄くなります。薄くなった血液を濃くする為、水分だけが血管や臓器からお腹の中に滲み出してくるのです。
原因が肝臓の異常だけなら完治することは難しいですが、内科治療によって管理することもできます。
しかし、腹水の溜まる間隔や量によっては他にも原因があるかもしれませんので、必要に応じて検査を行うとよいでしょう。