誓約書について - 独立開業 - 専門家プロファイル

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

誓約書について

法人・ビジネス 独立開業 2007/02/06 13:09

はじめまして、よろしくお願いします。
私は現在IT会社でプログラミングの仕事をしていますが、次回の契約が切れる来月を機に独立することになりました。
これから自分で独自に注文先と契約し事業展開していこうと思っているのですが、実は今の会社から退職にあたっていくつかの誓約書のようなものを提出するように言われています。
内容は2年間同業他社への就職や同業の事業をしないようにとか、損害賠償とか、何か会社側の一方的な内容のように思えて何かフェアじゃなく会社側の都合ばかり言っているような感じがします。
このような誓約書は意味があるのでしょうか?
会社を辞めるときにはこのような誓約書にサインしなければならないでしょうか?
ちなみに今後独立することは会社には言ってません。
ご助言よろしくお願いします。

Almodorさん ( 東京都 / 男性 / 32歳 )

回答:1件

後藤 義弘

後藤 義弘
社会保険労務士

- good

職業選択の自由 VS 会社の知的財産

2007/02/07 00:07 詳細リンク

はじめましてAlmodorさん、よろしくお願いします。

Almodorさんの例のように、会社が退職者に対し退職の際にこうした誓約書をとり同業他社への就職や開業に一定の制限を加え、企業利益(知的財産)の保護を図る企業側のリスクマネジメントは一般に行われています。

実際、こうした特約を求める企業側の行為そのものを規制する法律は存在せず、合理的な範囲内の制約であれば裁判所も特約の効力を認めつつ公序良俗という尺度で行き過ぎを規制する立場をとっています。

しかし一方で退職者側にも退職後の ''職業選択の自由'' という憲法に規定された強力な権利が保障されており、企業側の利益との調整の問題が生じてきます。

Almodorさんのように退職者が在職時に培った経験やスキルを使って職業生活を継続する、あるいは自らのキャリアの向上を図る行為自体この憲法の趣旨、そして昨今の雇用の流動化の動きともあいまって、まずは優先されるべき「権利」という視点も無視されてはいけません。

問題はその中身です。
ここでいう特約は会社側が退職者の退職後の職業生活に対し何でもかんでも制約できるという性質のものではなく、あくまで退職者の職業選択の自由とのバランスから「限定的」なものでなくてはなりません。

つまり退職後のAlmodorさんの職業選択への ''拘束性の度合'' がポイントとなるでしょう。 その程度が大きければ公序違反で特約の効力は否定され(無効)、逆に小さく限定された内容であれば有効となり、実際に競業行為等、義務違反があった場合は会社が元従業員に対し損害賠償請求などの民事的対応がとられることも考えられる、というのが一般論です。

残念ながらこの点(違法性とリスク)についてはやはり誓約書の中身を拝見しAlmodorさんの会社でのポジションなど諸状況を伺った上で総合的に判断せざるをえません。

補足

いずれにしても注意が必要なのは、Almodorさんが会社の「営業秘密」、厳密に言えば ''「不正競争防止法」で保護される会社の「営業秘密」を知っている'' 場合、これをAlmodorさんの事業に持ち込み使用する行為は、こうした誓約書の有無にかかわらず同法に基き損害賠償請求などの対象となるため、誓約書の規制項目にこうした ''重要な「営業秘密」'' (例:顧客情報、独自の製法・技術等)が対象となっているかどうかと、その内容のチェックが必須であるとともに、これらをご自身のビジネスに絶対に持ち込まないよう細心の注意を要する点です。

この場合、会社側の「知的財産」の保護が優先され、その違反には重い刑事的処分が用意されており、ご自身のこれからの事業の存続に甚大なダメージを与える可能性もあり、足元をすくわれることにもなりかねません。

誓約書の内容いかんですが、少なくともAlmodorさんが今まで培ったスキルを使って独立開業されること自体はご自身の職業選択の自由から問題はないと思われますが、お話した会社の知的財産としての「営業秘密」や「顧客情報」を持ち出し、ご自身のビジネスに使用したりする行為が法に触れることは間違いありません。

現職と「同業」の開業ということもあり「他業」よりリスクが大きくなることを考慮し、場合によっては一度専門家(弁護士等)に実際に誓約書を診断してもらい、リスクの把握と対策を用意されておくことをお勧めします。

(追) ご質問の誓約書へのサインの義務についてですが、退職に際し契約上強制される性質のものではありません。 よって拒否も可能ですが、上のとおりむしろ焦点は誓約書へのサインそのものというよりは中身とリスクの把握にあると思われます。

【関連コラム】 ''営業秘密に対するリスクマネジメント(1)〜(5)''
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/8387

質問やお悩みは解決しましたか?解決していなければ...

※あなたの疑問に専門家が回答します。質問の投稿と閲覧は全て無料です。

(現在のポイント:-pt このQ&Aは、役に立った!

このQ&Aに類似したQ&A

業務委託の場合の競業について ウェルテルさん  2010-07-02 11:54 回答2件
競合避止義務の有効性について みんころりんさん  2020-05-19 23:29 回答1件
損害賠償の契約について BOASORTEさん  2006-11-02 13:44 回答1件
個人事業主 妻名義にて開設した場合 nsy0805さん  2014-01-12 01:09 回答1件
個人事業に関しての質問です。 しんちゃんさんさん  2013-11-07 03:04 回答2件
専門家に質問する

タイトル必須

(全角30文字)

質問内容必須

(全角1000文字)

カテゴリ必須

ご注意ください

[1]この内容はサイト上に公開されます。

  • ご質問の内容は、回答がついた時点でサイト上に公開されます。
  • 個人や企業を特定できる情報や、他人の権利を侵害するような情報は記載しないでください。

[2]質問には回答がつかないことがあります。

  • 質問の内容や専門家の状況により、回答に時間がかかる場合があります。
気になるキーワードを入力して、必要な情報を検索してください。

表示中のコンテンツに関連する専門家サービスランキング

対面相談

後継者がいない!事業承継安心相談

事業承継に備えて、早めに準備しましょう

大黒たかのり

大手町会計事務所

大黒たかのり

(税理士)

対面相談

自社株式の相続税・贈与税をゼロに!

本当に税金かからないの?新事業承継税制について疑問に思っていることなど気軽に相談してみませんか。

大黒たかのり

大手町会計事務所

大黒たかのり

(税理士)

セミナー

リーダー育成研修 ただ聴くだけの研修なんかじゃない!

考えて行動するリーダーのための考えて 行動する研修

丸本 敏久

株式会社メンタル・パワー・サポート

丸本 敏久

(心理カウンセラー)