対象:独立開業
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IT関連の会社を立上げます。 幸い早速前職のつながりで仕事をいただくことになり新会社でその仕事を請けることになりました。 その責任者としてマネージャー職の人を正社員として採用するのですが、その仕事はプロジェクトとして進めるため、プロジェクトマネージャーが万一途中で辞めるようなことになると大きな損害となります。 このようなリスクを避けるために、これから採用する社員に対し、入社時にプロジェクト期間中にやめた場合に○○○万円のペナルティを払うという契約を結ぼうと考えています。 この場合、身元保証人に対しても損害を補償させる契約を併せてとることはできるでしょうか? その際本人の意思確認などもとる必要はあるでしょうか?
BOASORTEさん ( 東京都 / 男性 / 34歳 )
回答:1件
後藤 義弘
社会保険労務士
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適切な雇用管理を行いましょう
BOASORTEさん、こんにちは
お話の通り、実際にプロジェクト期間中にこの従業員の方が辞めてしまい会社に損害が発生した場合、こうした特約を根拠に労働契約上の債務不履行による損害賠償請求が可能でしょう。
しかし、労働基準法は労働者保護の観点からこうした民法の考え方に修正を加え、労働契約において損害賠償額を”事前に”決めてしまうことを禁止しています。
例えば…
「Aプロジェクト期間中に従業員側の都合により退職する場合、○○○万円の違約金を支払う」
という特約を仮に結んだとしてもその特約は『無効』となります。(身元保証人も同様です)
それともう一点、このような事前の損害賠償額の約定が同時に従業員側の『退職の自由』という「権利」行使を妨げることにつながるという観点からも違法視されます。
お話では、新しく雇われる従業員の方は特に「雇用期間を定めない」正社員であるとのことで、この場合従業員側には「退職の自由」が保障されていることにも留意が必要です。
次に実際に損害が発生した場合の求償についてですが、損害額が例えば先方との契約金額1,000万円としましょう。 このプロジェクトマネージャーの期間中の退職により、仮に1,000万円の売上がなくなってしまったとすれば、特約をもとに会社は(元)従業員に対し何らかの損害賠償を請求することになりますが、この場合損害額1,000万円を全額求償することはで許されないでしょう。 訴訟になれば裁判所が「損害の公平分担」の観点から賠償額は減額調整される可能性が高いと思われます。
(追記に続く)
補足
ではどの程度の請求が可能なのか?という問題ですが、裁判所は…
「信義則上相当と認められる額」
と非常に抽象的な基準で予測は困難です。
実際に損害が発生した場合は弁護士さんと相談することになると思いますが、さらにリスクマネジメントの観点から、このプロジェクトマネージャーについて適切な採用手続きと入社後の適切な雇用管理を行うことが重要です。 仮に訴訟となった場合、裁判所はそのあたりの不備・不手際を賠償額の減額要素として考慮する可能性があるからです。(つまりきっちりと雇用管理しないことで従業員が辞めていったという会社の過失を考慮されるということです)
いずれにしても、雇入れの際に損害賠償額まで決めてしまうことは違法となるので、実際に損害が発生した場合に損害賠償を請求する旨の約定にとどめる契約内容にすべきと考えます。 (身元保証人についても同じです。)
そして何よりも優秀な社員が辞めない適切な雇用管理が大切です。
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https://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7985
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