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対象:事業再生と承継・M&A

分割型会社分割について

法人・ビジネス 事業再生と承継・M&A 2025/01/25 09:20

分割元会社の発行済株式数600株・自己株式115株・A株主340株・B株主145株とした場合、持株割合は発行済株式数の600株または自己株式を除く485株、どちらで計算するのでしょうか?
また、承継会社が発行する株式数は任意で決められるのでしょうか?
自己株式を除く場合、端数が出ないようにA株主340株・B株主145株の485株での発行が可能でしょうか?
もし端数が出た場合はどうするのでしょうか?
そして減少する資本金等の額を計算する場合の「資本金等」とは、自己株式を除いた額で別表5(1)(資本金等の額の計算に関する明細書)の差引合計欄の金額で良いのでしょうか?
分からないことだらけで申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。

MG2さん ( 埼玉県 / 男性 / 54歳 )

回答:1件

小松 和弘 専門家

小松 和弘
経営コンサルタント

- good

株式分割することで端数なく株式発行可能です

2025/02/24 18:40 詳細リンク
(5.0)

MG2様、こんにちは。分割型会社分割に関してのご質問ですね。

持株割合についてご説明するにあたり、まずは分割型分割のご説明をします。
分割型分割は、分割の対価として「承継会社の株式」を「分割会社の株主」に割当てる方法ですが、
これは、「承継会社の株式」を一旦分割会社が受け取り、即座に受け取った「承継会社の株式」を「分割会社の株主」に対して「剰余金として配当」することで実現します。

また、剰余金の配当については会社法453条にて、
「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。」
と定められています。当該株式会社を除く、と記載がある通り、自己株には配当を受ける権利がありません。
従い、分割型会社分割で自己株については剰余金の配当を受け取れないことから、持株割合を計算する際に自己株は含めずに計算します。

次に承継会社が発行する株式数がどのように決まるかご説明します。
実際に会社分割の手続きを行う際は様々な手続きが必要で複雑な計算も必要となりますが、
ここではイメージを掴んで頂くべく、非常に単純化してご説明いたします。

まず、分割元会社が分割する事業の時価純資産額を計算します。
時価純資産額の計算は以下のイメージとなります。
(1):分割元会社の貸借対照表の資産の内、分割事業に関する資産を時価評価する
(2):分割元会社の貸借対照表の負債の内、分割事業に関する負債を時価評価する
(1)-(2):分割事業の時価純資産
時価評価というのは、例えば土地が資産として計上されている場合、土地の帳簿価額と、その土地の時価は異なることが大半かと思いますので、簿価を時価に置き換えることをいいます。

次に、承継会社の純資産の時価評価を行います。
(3):承継会社の貸借対照表の資産を時価評価する
(4):承継会社の貸借対照表の負債を時価評価する
(3)-(4):承継会社の時価純資産

ここで仮に以下の前提だとします。
分割事業の時価純資産:100万円
承継会社の時価純資産:300万円
承継会社の発行済株式数:60株

承継会社は100万円の事業を分割会社から承継するので100万円分の株式を分割会社の株主に交付する必要があります。
承継会社の1株あたりの価値は300万円÷60株=5万円なので、100万円÷5万円=20株で、20株を新規に発行し、
分割会社の株主であるAさんとBさんに交付します。
但し、AさんとBさんには340:145で株式を交付したいということかと思いますので、
承継会社の株式を分割しておけば端数なく割り当て可能となります。
例えば、承継会社の株式につき、1株を97株に分割しておくとします。
承継会社の発行済株式数:60×97=5,820株
AさんとBさんに交付される新規発行株式数:20×97=1,940株
Aさんへの割当株式:1,360株
Bさんへの割当株式:580株
こうすると、端数なくAさんとBさんの持株割合で株式を交付することが可能となります。
株式の分割をするには、株主総会もしくは取締役会の決議、官報等への公告、登記(登録免許税3万円がかかります)といった
手続きが必要となるため、その点にはご留意下さい。

最後に減少する資本金等の額ですが、まずは分割会社において貸借対照表上の純資産がいくら減少するかを計算する必要があります。
その上で、税務上の処理を行う際に、資本金等の額と、利益積立金がいくら減少するかを計算します。
ただ、会社分割には一定の要件を充たすことで譲渡損益が発生せず課税が生じない適格分割と、それ以外のケースとして非適格分割があり、適格分割と非適格分割のどちらとなるかにより純資産の変動額、税務上の処理額が異なります。
また、会社分割には吸収分割と新設分割があり、承継会社が既存会社である場合は吸収分割となりますが、この場合は承継会社の自己株を分割会社に取得させることができます。
従い、減少する資本金等の額が幾らとなるのか、自己株を含めるかどうかは、どのような前提で吸収分割を行うかによって変わります。

繰り返しとなりますが会社分割の手続きを行う際は様々な手続きが必要で複雑な計算も必要となりますので、
実際に手続きを実施される場合はM&Aに関するアドバイザーからアドバイスを受けることをお勧め致します。

MG2様の益々の発展を祈念しております。

自己株
事業
株式会社
承継
会社分割

評価・お礼

MG2さん

2025/02/25 09:10

小松先生、詳しく理解しやすいように解説していただき有り難うございます。
ひとつ伺いたいのですが、適格単独新設分割の場合でも時価純資産額での株式発行になるのでしょうか?
適格単独新設分割の場合は承継法人は新設なので、分割法人株主の持ち株数と同数の485株の発行しても問題が生じないと思うのですが?
再度の質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

小松 和弘

2025/03/24 21:13

MG2様、この度はご評価ありがとうございました。
また、回答が遅くなり申し訳ございませんでした。

再度のご質問に回答させていただきます。

適格単独新設分割の場合でも時価純資産額での株式発行となるのか、適格単独新設分割の場合は分割法人株主の持ち株数と同数の485株を発行しても問題がないか、というご質問ですね。

まず、適格単独新設分割について簡単に解説しますと、会社が自社の事業の一部を切り出し、新たに設立する会社(承継会社)に事業を承継させる新設分割のうち、法人税法上の適格要件を満たすものを指します。
この場合、新設会社の株主は分割会社の株主と同じ構成となります。また、「適格」とは、法人税法上の一定要件を満たすことで、資産・負債の移転に伴う課税が発生しないことを意味します(法人税法施行令第四条)

適格単独新設分割の場合でも時価純資産額での株式発行となるのか、という質問に関しては、適格単独新設分割において、新設会社が発行する株式の評価基準は「時価純資産額」ではなく、「簿価純資産額」となります。
これは、適格要件を満たす会社分割では、移転する資産・負債が簿価で承継されることが義務付けられているためです。そのため、新設会社の株式発行も、簿価純資産額を基準として行われます。(法人税法第六十二条の三)。

次に、適格単独新設分割の場合は分割法人株主の持ち株数と同数の485株を発行しても問題がないか、というご質問に関しては、以下の理由で、問題ないと考えます。
適格単独新設分割では、新設会社の株主構成は分割元会社と同一であることが適格要件です。そのため、自己株式を除いた485株をそのまま発行すれば、持株比率が変わらず維持されるため、適格要件を満たすことになります。
また、会社法上、自己株式には配当や議決権がないため、持株割合の計算時に除外されるのが一般的です。そのため、新設会社の発行株式数も自己株式を除いた株式数(485株)を基準にするのが妥当と考えます。

なお、会社分割の実務では、適格要件の確認や株式発行数の調整、税務処理などを慎重に進める必要があります。特に、税務上の適格要件を満たしているかどうかを慎重に確認することが重要です。
実際の手続きを進める際は、専門の税理士やM&Aアドバイザー等の専門家と相談しながら進めることをおすすめします。

回答専門家

小松 和弘
小松 和弘
(東京都 / 経営コンサルタント)
ホットネット株式会社 代表取締役
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