対象:住宅設計・構造
現在土地の契約前ですが、一点気になる点があります。土地南側に2メートル以下の擁壁があり、図面や管理の取り決め、検査済証などはないようです。石積みの擁壁ではないし、土砂災害警戒区域でもないので崩れないと仲介不動産に聞いたのですが、古家は昭和55年築ですし、その頃に出来たものだとしたら、40年以上経っています。
擁壁工事となると工事費がかなり掛かると聞いたので心配しています(今の擁壁がいつまで持つのか、やり直すことが必要になった場合の費用など)。
現時点で上記不安を解消できる方法がありましたら、ご教示いただけますと幸いです。
ぴの0119さん ( 東京都 / 男性 / 35歳 )
回答:2件
擁壁について
擁壁の状態を文章のみで判断するのは難しいのですが、古屋を建てた際の確認申請、検査済み証があり、その図面に擁壁が明記してあれば、検査を受けている場合があるので検査期間に問い合わせしてみることもできます。
検査済証がない場合は、新しく建物の基礎と擁壁の距離や角度を指摘され、擁壁から建物をはなさないと建築許可が降りない場合がありますので注意が必要です。
この場合は擁壁近くまで建物が建てられない、建物形状が制限されることもあります。
行政により擁壁の扱いが異なりますので問い合わせが必要です。
回答専門家
- 中村勝己
- (広島県 / 建築家)
- 中村勝己建築設計事務所
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擁壁のある土地を購入すべきか
はじめまして
擁壁の扱いは他の先生も仰るように行政により取り扱いが変わります。
建物の重さで地中の土圧が擁壁にかかり、倒壊しないように距離や角度(安息角)などを確認する必要が出てきます(参考:画像1)
南側に擁壁があるという事で建物位置は擁壁から離し、採光を取り入れる配置となれば、地盤調査の結果次第では、杭工事や地盤改良など必要ない可能性もありますね。
但し、地下水位が高いと未曾有の豪雨時など水圧で擁壁が崩壊するケースもございます。
擁壁の高さにより、コンクリート構造の配筋など基準が変わります(参考:画像2)
敷地周辺状況が分かりませんが、これから新築され長く住まわれるのですから、擁壁は新規で造成される方向で考えたほうが、建物が経った後で崩れ、やり替えるより安く済みます。
以下の手順でご確認されては如何でしょうか。
1.敷地の各所に「境界杭」の有無を確認し、擁壁が敷地内なのか共有なのかなど不動産会社と確認する
2.既に建築設計事務所や建築される工務店が決まっていれば、「建築士」に擁壁のやり替え金額など確認してもらう
3.未だ建築計画をお考えでない段階であれば、区市町村の都市整備部や建築指導課などへ相談する。その際は「図面や管理の取り決め、検査済証などがない」旨をお伝え下さい。
3の場合、近隣がどのような手続きをしたか、どのような擁壁にすべきか教えてくれる行政もございます。
簡単ですがご参考になれば幸いです。
補足
ぴの0119様
新たに敷地詳細を載せたご質問を別のスレッドに挙げておられますが、連続した内容として補足に書かせて頂きます。
擁壁の寿命は30-50年と言われてますので、先ずは現状が危険か否かの判断が必要です。
東京にお住いとの事ですので、区によっては擁壁改修専門家派遣制度があるので利用されては如何でしょうか。
(参考:世田谷区)※2m以上のケース
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/005/003/004/d00151337_d/fil/reaflet.pdf
(参考:北区)
https://www.city.kita.tokyo.jp/kenchiku/kenchikubousai/documents/adoyoko.pdf
(参考:助成金制度)
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000244981.pdf
東西の家と一体型の「共有擁壁」の場合、自分の土地だけやり替えるのは構造上おすすめできませんので、アドバイザーのご意見を聴くのが宜しいかと思います。
擁壁に関し、宅地造成規制区域ではなく図面や構造計算書、検査済み証、隣地との管理の取り決めもないということで、東西の住民の方達はお声掛けしなければ今後も改修などのお考えはないと思います。
引越後に近隣のお付き合いをされるわけですから、アドバイザーの情報を共有し危機管理をするか、「うちは関係ない」という態度をとられるようなら、共有擁壁の概念ではなく1件毎に安全対策をするつもりで、ぴの0119様敷地範囲の擁壁をやり替えるのもアリではないでしょうか?
建築設計事務所なら、その辺りの確認や交渉も間に入ることが可能ですが、ハウスメーカーさんは基本的にそこまでタッチしないと思いますので、ご自身で動くつもりで頑張ってください。
杭工事や基礎工事に際し、掘削して近隣建物が不同沈下を起こさないよう山留の仮設費用も考慮しておいた方が無難です。
ご参考になれば幸いです。
回答専門家
- 齋藤 進一
- (埼玉県 / 建築家)
- やすらぎ介護福祉設計 代表
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