対象:会社設立
個人事業を営んできた父が合同会社を設立しようとしています。合同会社を立ち上げたら、母の名義の不動産を会社が買い取り、購入費用を返済していきます。母の不動産をすべて買い取った後、近い将来代表を母に交代して、父の名義の不動産を買い取るという計画でいます。子供達(私達)も出資者(社員)として名を連ねる予定です。ただし代表を交代しなくても父が自分の名義の不動産を現物出資することもできるように思いますが、この計画の前者のメリットデメリット、後者のメリットデメリットを教えて頂けないでしょうか。
パウラさん ( 福島県 / 女性 / 48歳 )
回答:1件
代表権を有したままでも不動産の売買が可能です
パウラさんこんにちは
まず、社員(業務執行社員という前提でお話しします)であるお父様名義の不動産を合同会社が買い取る際、代表を交代せずとも、利益相反取引としてお父様を除いた過半数の社員(業務執行社員のみならず、業務執行権を有しない社員も含みます)の同意を得ることで、お父様名義の不動産を合同会社が買い取ることが可能です。
具体的には不動産の所有権移転登記を行う際、過半数の社員の承認を示す書面(各社員の署名、実印の押印が必要)と、各社員の印鑑証明書の提出が必要です。
もし利益相反取引にしたくないということであれば、お父様を一時的に業務執行権のない社員とすれば、不動産売買を行っても利益相反取引とはみなされません。但し、お父様の業務執行権の指定解除、再指定を行う際、それぞれ全社員の同意と登記が必要となります。
合同会社の社員は定款で別途定めない限り業務執行社員となり、利益相反取引は業務執行社員と会社が取引する際に適用されるものなので、お父様が代表権を有しているかどうかに関わらず利益相反取引として扱われますのでご注意下さい。
また、業務執行社員は定款に別途定めない限り会社の代表権を有することになりますので、代表者をお父様1名とする場合はその旨を定款に記載する必要があります。
一方、合同会社に対し現物出資を行うことは、会社設立時でも増資時でも可能ですので、不動産の現物出資にてお父様名義の不動産を会社名義とすることも当然可能です。但し、増資に関する定款の変更手続きが必要となります。
以上を纏めると、メリット、デメリットは以下のようになります。
<お父様名義の不動産を買取る場合>
メリット
・お父様が代表権を有したままでも利益相反取引として過半数の社員の承認を取得すれば、不動産売買取引が可能となる。
デメリット
・会社として不動産買取代金を用意する必要がある。
・お父様が業務執行社員の場合、利益相反取引として過半数の社員の承認を取得する必要がある。
<お父様名義の不動産を現物出資する場合>
メリット
・会社として不動産買取代金を用意する必要がない。
・お父様やお子様の出資金に加え不動産価値分、資本金を増やすことができる為、会社としての信用力が高まる。
デメリット
・現物出資による増資に関して、定款の変更が必要となる。
それではパウラさんご一家のビジネスのご成功をお祈りしております。
回答専門家
- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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