対象:会社設立
両親名義のアパート(1F自宅)の管理を、合同会社を設立し家族のみを役員とし運営したいと考えています。
以前は父の個人所得としていたため、確定申告も個人で行っていましたが、その煩わしさと相続を考えて、法人化を検討中です。
ローンもまだ2年半残っています。あまり多くの収益が出ないため、法人にした方が、法人税や社会保険を考えると損になるのではと思っていますが今後のことを考えて法人にする方向です。設立するとして、下記のことを教えてください。
1.代表社員を父(70歳年金受給中)にする場合、社会保険料は必要でしょうか。役員報酬は不要です。
2.土地は母名義(65歳年金受給中)です。土地賃貸料として経費で母に支払うことは可能ですか?その場合、個人の確定申告が必要?
3.ローンがまだ残っていますが、法人名義にする場合は法人として融資を受けて買い取る必要がありますか?
4.実際の管理に関わる業務は子である私が行いますが、その法人の事務所を私の自宅にしても問題はないでしょうか?経費で事務所費として支払えますか?私は他に仕事をもっています(扶養範囲内)が、報酬を受け取らない場合は業務執行社員となっても問題ないでしょうか。
5.代表社員を父か私にすることでの大きな差などはないでしょうか?こうすると損になる、など。
自分なりにいろいろと調べてはみましたが、専門家の先生にはまだお伺いしたことがなく、質問が的外れかもしれませんが、ご回答の程よろしくお願いいたします。
ask-marimoさん ( 愛媛県 / 女性 / 44歳 )
回答:1件
お答えします
ask-marimoさん、こんにちは。
ご質問の「役員」は、合同会社の社員(出資者)との想定で回答しています。
1.社会保険料について
社会保険と呼ばれるものは、狭義には医療、介護、年金の3つです。
狭義の社会保険3種は、合同会社等の法人の場合、強制加入となります。
(1) 医療保険・・・年齢を問わず健康保険(協会けんぽ等)の加入が必要です。健康保険は、国民健康保険とは保険料が異なります。条件により増減額は異なりますので、一概に損とは言えません。
(2) 介護保険・・法人化前同様に強制加入です。年齢により被保険者区分が異なります。
(3) 年金保険・・厚生年金の加入が必要です。厚生年金の加入期間は70歳未満ですので、父上に関しては保険料は不要です。
次に、広義の社会保険としては上記に加えて労災、雇用保険の2つがありますが、合同会社の社員は株式会社の取締役と同様に、原則として被保険者になりません。
2.土地賃貸料について
会社側は必要経費として損金経理が可能です。貸主となる社員側(母上)は不動産所得として確定申告が必要です。なお、適正な賃借料より高額な場合は、差額について役員給与として源泉徴収等の処理が必要となります。また、土地を賃貸する場合に「借地権の認定課税」といって、土地の権利金を収受する慣行がある場合に権利金の授受がないと、権利金が認定課税されます。(詳しくは下記のリンクをご覧ください。)
国税庁:タックスアンサー:権利金の認定課税について
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5730.htm
3.名義変更について
法人名義にする方法は、譲渡、売却、現物出資があります。
譲渡の場合は贈与税が課され、500万円超の現物出資は手続きが複雑になりますので、ここでは売却する想定で回答します。
合同会社側は購入資金が必要となりますが、分割払いとして将来の家賃収入で支払うことも可能なので、必ずしも融資を受ける必要はありません。
ただし、分割払いとした場合、ローンの一括返済はできなくなりますので、ローンの支払いと収入のバランスを慎重に検討する必要があります。家賃収入が減るリスクへの備えも必要となります。
ローンにより不動産(アパート)に抵当権が設定されていると思われますが、抵当権が設定されていても売買は可能ですので、法人名義に変更できます。
ただし、以下のような抵当権による不利益についてご留意ください。
・ローンの返済が滞ると競売に付される可能性がある
・不動産を担保とした融資を受けるのが難しい
・買い手が付かず、売却が難しい
なお、ローン契約に何らかの規定があるかもしれませんので、銀行等の債権者に確認することをお勧めします。
4.法人の事務所を自宅にすることについて
貸主であるask-marimoさんと会社との間で、適正な賃借料で賃貸借契約を締結すれば問題ありません。会社側は必要経費として損金経理が可能です。ask-marimoさんは不動産所得として確定申告が必要です。
業務執行社員も含め、合同会社の社員は「出資者」ですので、最低賃金の定めはなく、「報酬」として自由に設定できます。従って無報酬にすることも可能です。
被扶養に留まれるかどうかは「他の仕事の収入+賃貸料の不動産所得+(受ける場合は)報酬」を合算した収入額により決まります。
5.代表社員の選定について
ask-marimoさんと父上とのどちらを代表社員にしても大きな差はありませんが、会社における役割や決定権で最適な方を代表にするのがよいでしょう。
なお、代表社員や業務執行権のある社員が変わると登記の変更が必要になります。
業務執行権をask-marimoさん1人に限定した場合、登記変更の回数を削減できる可能性があります。
ask-marimoさんのご活躍をお祈りしています。
評価・お礼
ask-marimoさん
2014/12/06 23:05小松先生、とても親切に丁寧にご回答くださいましてありがとうございました。自分で調べることもかなり限界があることを痛感しました。特に、土地賃貸料や名義変更の内容は、まったく考えも及ばなかった内容で、専門家の先生のご指導を仰ぐことは、非常に重要なことだと思いました。大変勉強になりました。ご丁寧に詳しくお答えいただいてありがとうございました。
回答専門家
- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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