対象:住宅設計・構造
千葉県で南に開けているひな段の土地の購入を考えています。
南側は下に195cm下がっていて平屋が建っています。北側は195cm上がっていて、市道(自転車と人が良く通る2m程の道路)です。
旗竿状の土地で、入口(3m幅)は東側にあります。こちらからノアプローチは平坦です。
擁壁は売り出し前に不動産屋が作っています。所有は土地の所有者になります。
もし、将来擁壁にひびなど不都合が出た場合、修繕の費用の負担はやはり土地の所有者なのでしょうか。
北側の道路がかなり老朽化しているので、ちょっと心配になっています。
購入した場合、高低差をいかして2階や中2階に玄関を設けられればいいなぁと思っていますが、玄関までは橋をかけるような形になるのでしょうか。
いままでひな段の土地を考えた事がありませんでしたので、まったく費用など予想がつきません。
メリットは
・日当たり良好
・土地が少し安い
・階段をのぼらなくとも2階リビングにできる
だと思っています。
デメリットは
・売りづらい
・隣地ともめる可能性(よくわかりませんが)
になるのでしょうか。
擁壁の修繕の負担、玄関までのアプローチの費用、ひな段土地のデメリット等を教えていただきたいです。
まっすん0707さん ( 千葉県 / 女性 / 36歳 )
回答:3件
中舎 重之
建築家
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南北ひな段での擁壁
擁壁の所有と管理責任について、お話します。
南側の擁壁は、お客様の所有地の中に造られています。
当然、管理責任(修繕負担)はお客様です。
北側の擁壁は、市道と平行であれば、市の所有地に造られていると思われます。
管理責任は、市役所が負います。
簡単な話が、お客様が購入される土地の測量図に、
詳細で、明確な情報として、所有が区画され明記されています。
まずは最初に、確認されるべき重要事項ですので、書類を閲覧して下さい。
北側の市道から出入りするのであれば、市道と建物の2階床との高低差1.3mに、
アプローチを架ける必要があります。
市の擁壁に荷重を掛けない方法で、建物から鉄骨造にて架台を造ります。
当然、役所と相談して、アプローチの許可と、擁壁に荷重を掛けない構造の承認を得て下さい。
これらは全て、設計以前の事前に計画したものを、役所に提示して相談すべき事項です。
後手に廻すと、役所の心証を悪くし、時間がかかる様になりますので、注意して下さい。
2015.1.14 中舎重之 Fax:046-263-9324
評価・お礼
まっすん0707さん
2015/01/14 22:46アプローチの許可なども必要だとは知りませんでした。
役所との関わりについても思い及びませんでしたので、勉強になりました。
ありがとうございました!
中舎 重之
2015/01/15 10:04建物と基礎の話です。当方のコラムに「強い家造り」があります。
基礎編の7~8ページに、擁壁と建物との関連を記しています。参考にして下さい。
南側の盛土と北側の切土を意識して、建物を計画する話です。
南側の盛土には荷重の軽い平屋、北側の切土には荷重の重い2階建てとして下さい。
平屋と2階建てを繋ぐ基礎は、計算により安全を確認した設計をして下さい。
地盤に建物の荷重が掛かると、盛土部分は沈下し、切土部分は沈下しないので、
建物が南に傾斜する現象が起きます。それも、新築して3~5年以内に起き始めます。
不同沈下と云い建物にとって、最悪な状況が生じます。
現代でも、不同沈下を是正できる技術がないからです。
横浜での大手建設会社の手になる新築大規模マンションが不同沈下で、
建て替えになるニュースが昨年、報道されました。
不同沈下の原因が、一部の杭が堅い支持地盤に届いていない事によります。
それにより、建物が傾斜しました。
基礎の話です。安易な地盤改良や杭基礎では、処理出来ない事は明白です。
ハウスメーカーや、工務店は、基礎を「ベタ基礎」にすればOKと云いますが、
当方の眼から見れば、まったくのNGになります。
なぜなら、「ベタ基礎」を正しく計算して設計し、間違いのない配筋と、
設計の意図を把握したコンクリート打設が出来ない事が明白だからです。
業者の大多数は、経験の延長線で、見よう見まねの正しくない「ベタ基礎」を施工しています。
盛土部分には、建物は建てないのが、最良の選択になります。
地盤調査により、盛土と切土の境界線を完全に把握して建物の計画をして下さい。
設計は、構造計算が出来る設計事務所を選ぶのがポイントになります。
地盤調査のデータが読めるのが、設計事務所の最低条件になると思って下さい。
以上です。 中舎重之
上村 美智夫
建築家
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ひな段状の敷地のメリット・デメリットについて
はじめまして、PAO建築設計の上村です。
道路との境界の擁壁の所有が、その土地の所有者との事ですので、修繕費等の負担は保証期間等の定めがあればそれによりますが、基本的には擁壁の所有者の負担になると思われます。
玄関までのアプローチの件ですが、道路から直接橋を架ける方法以外にも、敷地の平坦なレベルに降りてからの玄関も考えられるのではないかとも思いました。
橋については、その作り方のもよりますが概算の目安として、50~100万程度ではないかと思われます。
思い当たるひな段のメリット・デメリットはおおよそ次の様な事でしょうか。
・メリット
南方向に開けているとの事ですので、やはり、日当たり、眺望は平坦地には無い大きなメリットでしょう。南側より覗かれるリスクが少なくなりますので、南方向に解放的な間取りが可能となります。
・デメリット
デメリットとしては、毎日の生活の中で道路からの上り下りが必要になる事でしょう。
道路側の擁壁(高さ195cm)にはその垂直な壁面に水抜き穴が複数あると思いますが、擁壁付近の北側の地面は他の場所と比べ多少湿っぽくなる可能性があります。
隣地ともめる可能性については、周囲の状況が詳しくは分かりませんが、同じようにひな段状になっているのであれば、相互にお互い様ですので、そのリスクは少ないと思われます。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
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上村 美智夫 / Michio Kamimura
PAO建築設計
http://www2.gol.com/users/paoarchi/ E-mail paoarchi@gol.com
評価・お礼
まっすん0707さん
2015/01/14 22:42擁壁の修繕に関して、やはり所有者の負担になる事がわかりスッキリしました。
玄関の作りにつきましても、ご提案ありがとうございます。
価格の方も、本当に見当がつかなかったので大変参考になりました!
わかりやすいご説明ありがとうございました。
上村 美智夫
2015/01/15 12:57返信ありがとうございます。
その後の文面からすると、敷地全体に盛り土されているようです。
他の方の指摘にもあるように、盛り土の場合は地盤の沈下が懸念されますので、地盤調査をして
その結果を踏まえた、杭、基礎の設計が必要になると思われます。
眺望などを重視した傾斜地に建つ別荘などの建物は、やはり地盤の状況に見合った杭、基礎の設計をしており、それで問題はありません。
当方の今までの経験では、周囲より安い土地にはそれなりの不利な理由があり、それを克服する費用分程度に安いようです。ですのでこの点はプラスマイナスゼロとも言えるでしょう。
多くの土地を見た中でこの敷地に魅力を感じた点は大切にすべき事ではないでしょうか。
慎重に計画を進めて下さい。
ご健闘をお祈り致します。
少しでもお役に立てば幸いです。
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上村 美智夫 / Michio Kamimura
PAO建築設計
http://www2.gol.com/users/paoarchi/ E-mail paoarchi@gol.com
坪山 利明
ハウスリフォームアドバイザー
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擁壁の許可は?規制区域では?
こんにちは。
まずは、擁壁の件ですが、境界内であればまっすん0707さんの所有物になりますので管理も発生しますね。
次に擁壁ですが、195cmが怪しいです^^。
法的には200cm以上で確認申請が必要になるんです。
どのような施工なのか?疑問です。
それによって後々ヒビ等の問題が出るかも知れません。
また、千葉県は宅地造成規制地域が有りますので、その地域内であれば100cm以上は行政の許可が要ります。そのような擁壁であれば多少は安心かも知れません。
ひな壇の件ですが、通常より土地が安いと思います。
かわりに基礎や材料の搬入、外構などに余計に費用がかかります。
100%切土であれば安心ですが、半分盛土ですと地盤沈下が心配です。
日当たりやプライバシーに関してはメリットと思いますので、ひな壇の土地は所有者様のお考え次第と考えます。
私は基本的にひな壇は好きですが、設計・施工は慎重にお考えください。
評価・お礼
まっすん0707さん
2015/01/14 22:37詳しくありがとうございます!
土地はもともと、南側には約50cmの高低差、北側に約350cmの高低差だったものを、盛土を2m程して南に2m弱、北に2m弱の高低差にしています。
切土ではなさそうです・・・
擁壁は確認申請をしていると言っていたので大丈夫そうなんですが、やはり地盤沈下は心配ですね。
とても参考になりました!ありがとうございます!
坪山 利明
2015/01/14 23:25高い評価いただきまして、ありがとうございました。
(現在のポイント:-pt)
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