対象:労働問題・仕事の法律
本田 和盛
経営コンサルタント
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育児休業中の解雇
凄腕社労士 本田和盛です。
育児介護休業法5条では、「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる」と規定し、その実施を確保するために、同法10条で、「事業主は、労働者が育児休業の申出をし、または育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な扱いをしてはならない」と規定しています。
上記の規定違反については、罰則はありませんが、行政解釈では、「解雇その他不利益な扱い」に該当する法律行為が行われた場合においては、「民事上無効」となるとされております。
よって育児休業中の労働者を、育児休業をしていることを理由として
解雇することはできません。
ただし業績悪化の場合に、戦力となっていない休職者に辞めて頂きたいと会社が考えることは無理もないことなので、労働者に合意解約を申し込んで、労働者が任意で退職する場合は、育児介護休業法違反とはなりません。
しかし育児休業期間中は、会社は賃金を支払う必要がなく、一方で労働者は、雇用保険法の「育児休業給付金」の規定に基づき、休業開始前賃金の40パーセントを受給することができます。
今回の相談のケースでは、育児休業期間中は会社はそのまま休職を認め、期間満了時、または職場復帰給付金受給後に合意解約するのが妥当であると思います。
仮に会社が人員整理を必要としていたとしても、育児休業中の者を
解雇することは、解雇権の濫用となる可能性が高く、問題があります。
補足
育児休業給付についての補足情報です。
育児休業給付は、育児休業中の「育児休業基本給付金」と、復帰後の「職場復帰後給付金」からなり、両方合わせて休業開始時賃金の40%が支給されるとなっていますが、平成22年3月31日までは50%支給されることとなっております。(暫定措置)
<追加 法改正情報>
平成21年3月31日施行の改正雇用保険法では、さらに上記の暫定措置が延長され、平成22年4月1日以降は、2つに分かれていた育児休業給付が統合され、全額育児休業中に受給できるようになります。
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