対象:独立開業
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個人事業の承継について
修一さん、はじめまして。
義父様が個人事業主と記載されている一方、会社という表現も使われておりますが、株式会社等の法人ではない個人事業主の事業を引き継ぐことができるかどうかという質問として回答いたします。
個人事業主の事業については、法人と異なり、事業を開業した個人にのみ紐づくものですので、ある人が事業主として開業した個人事業の主体を誰かに変更するという、法的な制度はありません。
そのため、もし、義父様の名義で個人事業の開業届を税務署に出した場合は、廃業の時までその事業は義父様の事業になります。
修一さんがその事業を引き継ぐ場合は、義父様が個人事業を廃業した後に、修一さんが新たに税務署に自身の名義で開業届を提出して事業を新規に開始する必要があります。
その後に、取引先等に事業を引き継ぐ旨を周知しながら実質的に営業を継続していく、という形になります。
その際、取引先などには、売上の振込先等を適宜切り替えてもらうなどの手続きを依頼する必要があります。取引契約を結んで仕事をしている場合は、契約書を修一さんの名義で締結し直すなどの手続きが必要になりますので、取引先と個々に相談して進める
のがよいかと思います。
義父様の事業用資産(売掛金、車両、備品など)を修一さんが引き継ぐ方法としては、修一さんが義父様から買い取る方法と、贈与により引き継ぐ方法が考えられます。
買い取りの場合は、義父様側では事業用資産の売却金額を売上として計上し、修一さんの方では、購入金額を経費として認識することになります。
売却金額は減価償却資産などのように簿価があるものについては、簿価を売却金額にするとよいかと思いますが、簿価等が不明であれば、同等品を購入した場合の相場を調べるなどして金額を設定する形になります。
購入金額の全額を義父様に一括で支払うことができない場合は、義父様から購入金額を借りたというかたちにして徐々に返済していく方法や、買掛金や未払金などの義父様の事業用債務を引き継いで差額のみを支払うなどの方法が考えられます。
贈与の場合は、引き継いだ事業用資産は、基本的には義父様が計上していた簿価を引き継いで事業を続ける形になります。この場合、資産と同時に債務も引き継ぐのが一般的です。
贈与の場合、修一さんから義父様に対価を支払う必要はありませんが、資産の評価額によっては贈与税を支払わなければならない場合があります。
現在は、個人版事業承継税制によって納税猶予を受けられる制度もありますので、贈与により承継する場合は、税理士等の専門家に相談されるとよいかと思います。
個人版事業承継税制については以下も参考にしてください。
【個人版事業承継税制の国税庁ホームページ】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/kojin.htm
その他、銀行から事業資金の借り入れをしている場合や、事業用の賃貸物件がある場合は、個々の契約の名義を修一さんに切り替える必要があります。
注意が必要なのは、名義を変更するだけで済む場合と、一度義父様が契約を終了して、修一さんが新規で契約をする場合があることです。
後者の場合は、契約条件などが変更される場合がありますので、契約内容が不利になるようであれば、返済の終了や契約期間の満了まで、義父様の名義を維持するなどの何らかの対策が必要になる場合があります。
上記は、個人事業主から個人事業主に事業を引き継ぐ場合ですが、他の方法として、義父様が法人(株式会社、合同会社等)を設立して事業を継続し、後々、代表を修一さんに変更する方法も考えられます。法人であれば、代表が変わっても、名義は法人そのものですから、資産・負債・契約などを引き継いで経営を承継しやすいというメリットがあります。
承継までに時間の猶予があるようでしたら、こちらの方法もご検討ください。
上記の内容で参考になりましたでしょうか。
修一さんのご成功をお祈りします。
回答専門家
- 小松 和弘
- ( 東京都 / 経営コンサルタント )
- ホットネット株式会社 代表取締役
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この回答の相談
義父が個人事業主で電気工事業を営んでおり年齢的に会社を継いで欲しいと言われました。私は娘婿で違う会社で働いているのですが義父の会社を継げるのでしょうか?手続きなどを教えていただきたいのですが。
修一さん (福岡県/36歳/男性)
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