対象:住宅設計・構造
宮原 輝夫
建築家
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2つの要素をバランス良く
宮原建築設計室の宮原輝夫と申します。
ご質問の「北道路、南の日当たり」ですが、住宅の日当りを考えるとき、私たち設計者は大きく2つの要因を考慮しながら設計を行います。ひとつ目は勿論、敷地の形状や面積、方角や道路の位置、周辺の建物状況といった、物理的な要因です。各種法律についてもこれに当てはまると思います。もうひとつは何かというと、住まれる方の生活様式や、またプライバシー、セキュリティなどの考え方、すなわち社会的・精神的要因です。
例えば、南にスペースが有って、窓を南面に配置すれば物理的には南からの日照が得られる筈です。ですが、その南面が人通りの激しい道路だったり、窓が沢山ある隣家が建っていたら、プライバシーを心配して、きっと室内を覗かれる心配の無いカーテンなどを掛けてしまうでしょう。結果として日照は無いも同然ですし、コストが嵩むだけで防犯的な意味や断熱の観点からはマイナスになってしまいます。物理的な要因だけによる設計は、より本質的な部分を見逃しがちです。
今回のお悩みについて、敷地の面積や形状、敷地に関わる法律などを考慮すると、さいなお様が書かれている通り、中庭を用いた方法はより良い住空間を確保する為の回答のひとつかと思います。その場合、先にお話しした2つの要因を整理して考えると、当然ですが大きく開きたい窓を中庭に向けて配置し、プライバシー、セキュリティを守りながら採光を行う事になります。建物は南端から駐車場迄の最大寸法として、中庭を配置した上で、北側に日照を求めたいリビングを配置するのが一般的かと思います。加えて南に配置される部分には、内部を通過する光の道を設定する事で、全体に光溢れる住宅とする事が出来ると考えます。
建設費についてですが、中庭住宅は一般的に床面積に対する外壁率が高くなり、また開口部への要求が多くなるため、一般的な形状の住宅に比べ、坪単価は少々多めに必要かと思います。
ご要望やご家族の詳細等不明な為、簡単ではございますが、参考になりましたら幸いです。
私共で設計した中庭住宅をリンクしておきますので、お時間が有りましたらご覧下さい。
・House_IM
http://www.miyahara-arch.com/concept_house_im.html
65坪の敷地に建つ、家の真ん中に中庭を持つ平屋住宅です。
(この住宅は本年度の東京建築賞 優秀賞を受賞しています)
・House_N
http://www.miyahara-arch.com/concept_house_n.html
55坪の敷地に建つ住宅で、20畳以上の中庭を持つ2階建てです。
室内にリビングが無く、中庭をリビングとして計画した二世帯の中庭住宅です。
・House_Sz
http://www.miyahara-arch.com/concept_house_sz.html
60坪強の敷地に建つ中庭住宅で、プライバシーを考慮した2つの中庭を持っています。
(第14回のTepco快適住宅コンテストで、優秀賞(1位)を受賞しています)
また、下記のHPでも私共で設計した中庭住宅の紹介をしておりますので、宜しければご覧下さい。
建築家の住宅HP
http://www.architect-works.com/
ではでは、参考になりましたら幸いです。
宮原輝夫 / 宮原建築設計室
http://www.miyahara-arch.com/
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この回答の相談
検討している都内45坪土地(容積100、建ぺい50、一種低層)があります。
*北道路6m
*間口 10.69m
*奥行き 15.40m
*南側の隣地との境界線8.61m
*南北はほとんどふれてい… [続きを読む]
さいなおさん (東京都/48歳/男性)
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