自分には失望しないで下さい
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在籍しているアメリカの大学院のリサーチで現在「ひきこもり」について調べています。
悩んでいらっしゃる内容と、これまでにまとめた日本の若者の悲惨な現状が酷似しているので、驚き衝撃を受けました。
心療内科で適応障害と診断されたそうですが、英語のHikikomori の定義は実は同じAdjustment Disorder (適応障害)です。 Withdrawal Syndrome (社会からひきこもる症状)とも言われますが、「適応障害」のが一番よく使われる定義です。
Hikikomori に代表される「適応障害」は日本文化独特の心理障害と言われ、精神疾患診断のバイブルといわれるDSM (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の中では、ある地域・文化に起こる独特の疾患として掲載されています。 知りあいの精神科医の言によると、現在200万を超える若者がこのような状態から抜け出せないまま、貴重な人生を過ごしているそうです。
ご相談の
「気持ちの問題と思うものの、人生に自分を奮い立たせる理由が見当たりません。 何とかもう一度頑張りたいと思いますが、自分にも他人にも世間にも失望してしまい、疲れてしまいました。 今、何から手を付ければ良いのか分かりません。」
という状態に陥り、これ以上自分を社会に破壊されるのを拒否した若者が、本来持っている生存本能に従い、害あるものから隠れる行動であると、日本を外から客観的に分析、研究している専門家が説明しています (Zeilenziger)。
若者のこのような心理状態には、日本社会に大きな責任があると思います。
本来なら10代で様々な社会経験、人間と対峙する経験を積み、自分が何者かを形作って行くはずの時期が、日本の10代には存在していないようです。
受験、塾と追いまくられ、自分に何が出来るのか、何が得意などんな「ひとりの人間」なのかもわからないまま、点数で入学した大学。
大学では本来、自分の専門分野の知識、スキルを高め、それを生かすべく仕事をみつけ、「ひとりの自分」を進化させ、満足を見出すための人生を踏み出す準備をする場所のはずです。
ところが、日本の大学はどうでしょう。 専門分野など何のその。 就活という正に日本文化そのものの集団現象を経て、とにかくどこかへ就職する。 それぞれ大きく異なる特性を持つはずの「個人」はおきざりです。
補足
就職出来たらそれが人生のゴール。 そう、すでにゴールにたどり着いてしまっているわけです。 あとは、「一人の自分」を殺して、集団に従属すること。 特に日本の会社文化は21世紀になっても変わっていないと多くの研究が示しています。
強烈な階級制度の基、絶対服従を求める会社。
その中で自分の感情を押し殺して無事に過ごすことが、日本の若者に求められていることですね。
それが出来ずに、自分を出そうともがく若者は、ルートから外れた落後者とみなされ、親はそんな子供の「世間体」が悪いと嘆きます。
「自分を殺せ~」という社会の圧力と、「世間体」という圧力から逃亡したのが、Hikikomoriの若者だと多くの専門家は分析しています。
Sigma さんにとっての人生のゴールは何ですか? 日本社会の中でうまく生きて行くことですか? それとも、「ひとりの自分」を幸せにすることですか?
Happiness にとって必須の条件が4つあります。 最近アメリカ・カナダで多くの専門家が研究しているPositive Psychologyの分野で説明されているその4つとは:
Autonomy: 自分の人生について自分で決めることが出来る能力
Competence: 自分で決める能力を持つためには、もちろん人に誇れる能力が必要です。 どんな分野でも構いません。 自分はこれが出来る!という能力と自信です。
Relatedness: 大切な人とつながっているという意識。 人はひとりでは生きて行けません。 しかし、役に立たないつながりを無理に維持する必要もありません。 自分にとってプラスになる、そして自分も相手にとってプラスになる関係を持っていること。
Self-esteem: そして最後に、「自分をすごい」と思えること。 自分は特別な存在で素晴らしいと思えること。
Cultural Psychology の研究で、残念ながら日本は世界の中でもSelf-Esteem が非常に低いとされています。
まずは、自分をもう一度分析してみたら、現在の状況が客観的に見えて来るかもしれませんよ。
大切な自分をなくさないように。
Cheers.
評価・お礼
sigma さん
2012/08/29 18:23
大澤先生
回答どうもありがとうございます。
日本の受験戦争や就職活動の在り方には私自身も疑問は感じます。
(新卒で失敗したらやり直しが効きづらい点など・・・)
しかし、その中で生きている、生かされている以上はその枠内で
ベストを尽くすしか選択肢は残されていないのも実情です。
日本社会の枠内で外れないで生きていくことも、自分自身が
幸せになる事も、どちらも日本に生きる身としては求めていることです。
ストレスが溜まると脳が疲弊してセルフエスティーム(自尊心でしょうか)の
低下を引き起こすというのは聞いたことがあります。
リラックスできる環境や時間が少ないのですが、その枠内で少し考える時間を
作りたいとは感じます。
ありがとうございました。
回答専門家
- 大澤 眞知子
- ( 英語講師 )
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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この回答の相談
社内異動で部署が変わりました。
今の部署は社内では花形、抜擢と言われました。
当初は意気込んで頑張ろうと思っていました。
実際は一から百まで自分でこなすべき過酷な環境… [続きを読む]
sigmaさん (東京都/30歳/男性)
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