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対象:遺産相続

柿沼 太一

柿沼 太一
弁護士

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遺産分割協議の進め方

2010/11/16 05:08
(
5.0
)

はじめまして。
弁護士の柿沼と申します。
1 原則について
 遺言がありませんので,遺産分割は法定相続分にしたがって行われることになります。そして,本件では法定相続分はハピカさんがおっしゃるとおりの割合ですので,原則として当該法定相続分にしたがって分割をするということになります。
2 寄与分等について
 この原則に修正を加えるものとして本件で考えられそうなのは,
 ア BさんはBさんの親御さんの世話をしていた
 イ Bさんはお墓を承継する
 という点ですよね。
 しかし,アについては,Aさん自身の世話をしていたわけではない(なお,ご質問では「Bの世話などはしてなく」とありますが,これは文脈からすると「Aの世話などはしていなく」ということかと思います)ので,法律上寄与分が認められるというのはなかなか難しいと思います。
 また,イについても法律上,お墓を承継する人の権利として,なにか決まった割合のものが発生するわけではありません。
3 どう考えるべきか
 では,本件についてどのように話を進めるべきかという点ですが,お金で一番換算しやすく,他の相続人の納得が得られやすい点のは,上記イの点でしょうね。これからのお墓の管理費用等は試算可能でしょうから,試算のうえ,その部分だけ相続分を増やすように協議を進めることは十分合理性があるのではないかと思います。
 その他の点(Bさん自身がご病気で医療費がかかるという点も含めて)については,法律上の根拠とはなりにくいですが,他の相続人が納得すれば当方の相続分を増額することはもちろん可能です。
 また,1点確認すべき事項があるのですが,現在Bさんが承継しようとしている保険というのは受取人が指定されているものでしょうか。指定されているものであれば,それは当該受取人が受領すべきものであって,遺産ではありません。仮にBさんが受取人として指定されているのであれば,それは法定相続分とは別に受領することが可能であり,さらに法定相続分について調整をするよう他の相続人にお願いすることを検討してもいいかもしれません。
(制限文字数を超えてしまうので「補足」欄に続けて記載します)

補足

 そのような事情がないのであれば,結論としては,お墓の管理費用を試算して,300万円を超えることが(通常はないと思われます)なければ,現在進んでいる話は受け入れることでやむを得ないのではないかと思います。
 Bさん以外の相続人はあくまで代襲相続人ですので,唯一の直接の相続人であるBさんのお気持ちとしてはよく分かるのですが,法律上は代襲相続人と直接の相続人とで相続分に差を設けていません。したがって,遺言がない以上このような結論になってしまいます。
4 その他気をつけるべきこと 
 基本的なことですが,遺産分割協議の際に必ずチェックすべき事項は,
 ア 遺産の範囲 
 イ 相続人の範囲
 です。
 土地の相続ということでおそらく専門家にご相談になるでしょうから,イについては戸籍謄本類を必ず調査すると思われますので,その時点でチェックすることが出来ます。ただし,アについては後で別の遺産が発見されたということがないように,名寄帳等も含めて十分に調査をすると同時に,遺産分割協議書では,後に発見された遺産の分割方法についても明記する必要があるでしょう。
 なお,遺産の調査方法については,手前味噌ですが,私が所属している法律事務所の ホームページの該当部分をご覧になっていただければと思います。
 http://www.kakehashilaw.jp/case/isan/contents_03.html

弁護士
遺産分割
遺産
遺言
保険

評価・お礼

ハピカ さん

2010/11/17 14:04

早速丁寧なご回答を頂きましてありがとうございます。
何度入力しても文字制限でエラーになってしまうので私の質問の補足に回答・再質問含め書かせていただきました。お手数ですがよろしくお願いします。

柿沼 太一

柿沼 太一

2010/11/18 14:13

補足の主な点についてコメントさせて頂きます。

・ 2について
 相続人ではなく,相続人の配偶者や子が遺産の増加や維持に貢献をしている場合に,それを相続人の寄与と同視して寄与分を認めることは可能ですし,そのようなな判断がされている審判例も多数あります。ただし,今回の場合,ハピカさんがなされた行為が寄与分に該当するかどうかはかなり難しいのではないかと思います。というのは,療養看護によって寄与分が認められるためには,「著しい程度の療養看護」が必要とされており,今回はそこまでは言えないのではないかと思われるからです。

・ Bの介護医療費などをお願いするのは実際難しいですかね。どう言うかですが、、一応主張はしていいですか?
 法律上は難しいと思いますので,まさにおっしゃるとおり「言い方」の問題でしょうね。

・ 保険について
受取人がAの親(おばあさま)ということであれば,そのおばあさまの相続人が法定相続分にしたがって取得すべき保険金と思います。したがって,それをBさん単独にしてくれる,というのはおっしゃるように,実質的には寄与分として考慮してくれているのでしょうね。

・ お墓費用は別で主張しよう思いましたがこの300万に含れていると考えた方がいいですか
 言い方や,先方との関係次第ですが,原則としては,含むと言うことでやむを得ないのではないかと思います。

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この回答の相談

相続協議について質問です

人生・ライフスタイル 遺産相続 2010/11/16 00:23

はじめまして。相続協議が近づき質問があり投稿します。
私の親は4人兄妹ですが私の親以外は、今年までに3人亡くなりました。
A兄:今年亡くなった。独身子供なし。土地の相続四千万円が発生
B妹:私… [続きを読む]

ハピカさん (東京都/37歳/女性)

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