対象:ペットの医療・健康
安楽死について
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さて安楽死についてですが、これは国や文化、あるいは獣医師によっても意見が異なってくる難しい問題かもしれません。
ですので、ここで書かせていただくことはあくまで私の考えとお考えください。
私は、コンパニオンアニマルに対する安楽死は許されないと考えております。
彼らはもはや家族であり、人間に許されない行為はコンパニオンアニマルにも許されないと考えているからです。
人間に対する安楽死は、日本では法的に許されていないのでしょうが、それでも完全な違法行為にあたるかどうかの境界線として、いくつかの条件があると聞きます。
死期が切迫していることや、耐え難い肉体的苦痛が存在することなど、さまざまな条件が含まれるそうですが、その中の一つに「患者が意思表示していること」という条件があるそうです。
これらの条件さえ満たせば本当に人が人に手を下してよいのか、というような難しいことは私にはわかりませんが、少なくともこの「患者が意思表示していること」という条件が重要であることはわかります。
そこでいつも考えるのが、はたしてその時、犬や猫たちが「楽にしてくれ」と思っているのだろうか、そしてそれはいったいどうやって確認できるというのか、ということです。
「きっとこの子も楽になることを望んでいると思うのです」といわれる方はいらっしゃいますが、それは飼い主さんの価値観であって、けしてその子の気持ちを完全に表しているとは限らないと思っています(表しているのかもしれませんが)。
立てなくとも一生懸命水を舐めようとしていたり、苦しい呼吸のさなか食事を取ろうとしている子たちは本当に楽になることを求めているのだろうか。
この仕事について十数年たちますが、いまだにその答えを見つけておりません。
恥ずかしながら私にはいまだに動物たちの本心が聞こえてこないのです。
わかった気がすることはあっても、きっと本当にわかる日は来ないような気もします。
それがわかるようになるまでは(一生わからないかもしれませんが)、コンパニオンアニマルに対する安楽死は許されないと考えることにしております。
くどいようですがあくまで私見です。
このように考えている獣医師がいるという程度にお考えください。
評価・お礼
julia-japan さん
沖田先生、またもご回答をありがとうございました。
私も実は同意見で、人間の家族であったならそう簡単に決断しないのにと思っています。
そして同時に、飼われていない子達だったらどうなるのか?と思っています。少なくとも、自殺という選択肢だけはこの子達にはないのだと思います。
難しいテーマですが、コンパニオンアニマルを家族に持つ者にとっては考えずにいられない時もあると思うのです。私もその中の一人。非常に参考になりました。感謝申し上げます。
回答専門家
- 沖田 将人
- ( 富山県 / 獣医 )
- アレス動物医療センター センター長
地域に密着したワンランク上のホームドクターを
アレス(Alles)とはドイツ語で「あらゆること」を意味します。インフォームドコンセントの充実、年中無休、CTスキャナ導入など動物たちの幸せにつながることなら、飼い主様のあらゆる要望にお応えしたい。そんな願いを込めて診療に取り組んでいます。
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