外壁の仕上げ材を、どの様なもので仕上げるかで答えが変ります。
外張り断熱に用いるは断熱材の中では成型板として堅い部類に入りますが、それでも指で押さえれば凹む程度の堅さです。外壁に金属サイディング等の軽いものを使うのであれば、あまり気にしなくても良いですが、塗り壁とかタイル張り等の重い壁を使うのであれば、断熱材の厚み分だけ何の支持もなく貫通させるのは無理があります。新築当初は問題無くても長い年月を考えれば垂れ下がる危険があります。
確かに、熱橋等の問題は外張り断熱の方が優れていますが、木材も断熱材には劣るものの、建材を見渡せば断熱性能の高い建材と云えます。木造住宅の場合は熱橋の問題は厳寒地域でない限りあまり気にしなくて良いかと思います。
壁に関しては、しっかりと施工すれば高性能グラスウール16K 105mmで良いかと思います。但し、天井は105mmでは少ないでしょう。
冬場を考えれば熱は壁・天井共均等に逃げて行きます。しかし、夏場の太陽の日射は、屋根面が受ける熱量は壁面が受ける熱量の3倍に及びます。夏場に関して云えば105mmのグラスウールを3枚重ねにして丁度良い位です。
気密性は外張り断熱の方が良くなりますが、断熱性能を高めようとすれば、たまたま気密性が良くなるだけで、気密性そのものを高めることに大きな意味はありません。気密性を高めたばっかりに、誤った施工をして結露で悩む結果となれば元の木阿弥です。
外張り断熱の場合、壁の中が空洞になりますので、有効利用出来る様に思いますが、部屋内側にプラスターボードを張らないと、防火構造となりません。防火構造にしなくて良い地域なら、部屋の気積を増やす事は出来ますが、山奥の別荘でも無い限り防火構造は要求されます。
東北地方でも、充填断熱で施工されて実績のある方もおられますので、外壁仕上げ材の自由度を考えれば充填断熱で構わないかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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