組織ビジョンの大切さはいろいろなところで言われます。
私が人事制度構築などを行うにあたっては、企業理念や経営理念、あるべき社員像といったものを重視し、それに基づいて人事制度の基本的な考え方を決めて制度を組み立てていきます。
人事制度に原理原則はありますが、正解はその企業によってまちまちですから、自分たちの持つ理念や価値観に、そのやり方が合致するのかということを常に問いかけながら検討を行う必要があります。企業理念や経営理念は、その企業の一番基本的な考え方を表現しているものとして考えているからです。
よく入社理由として“会社の理念に共感したため”などと言うように、経営理念、組織ビジョンはいろいろな場面で重要視されますが、それが現場の“やる気”につながるかと言うと必ずしもそうとはいえません。
企業理念に共感していても、“やる気”を左右するのはまず現場での仕事内容と人間関係です。ある調査によると、直接の上司との関係が良いと会社に対する不満は少ないとのデータがあるそうです。裏を返せば現場の一人ひとりにとって、“会社”イコール“直接の上司”ということなのです。
組織不満の始まりは、結局些細な日々の不満からで、人の“やる気”は現場でのちょっとしたやり取りに左右されます。ミドルマネジメントが企業全体の活力、生産性に大きく影響するわけで、その重要性を改めて認識する必要があると思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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