「間違いをなくすため」「能力を知るため」に手書き? - 人事労務・組織全般 - 専門家プロファイル

ユニティ・サポート 代表
東京都
経営コンサルタント
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:人事労務・組織

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

「間違いをなくすため」「能力を知るため」に手書き?

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 人事労務・組織
  3. 人事労務・組織全般
社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 新型コロナにかかわる給付金や補助金の申請で、件数の多さやシステムの不備、整備の遅れなどから、いろいろ混乱しているようですが、少し前に同じような公的申請の手続きに関して、知人から聞いた話です。

 ある許認可に関する申請書類を準備していて、質問をした役所の窓口でこんなことを言われたそうです。

 「書式は電子文書で提供されていますが、中身をしっかり確認しながら書いて頂くために、必ず手書きしてください」


 そう言われても、本当に手書きの方がしっかり確認ができるのか、間違いが無くなるのかということ自体がそもそも疑問ですし、それが役所全体の指導方針なのか、それとも担当者の個人的な考えなのか、その点もよくわかりません。

 今の時代に「必ず手書きで」などと言われてしまうと、かなり違和感を持ちますが、少なくとも窓口の人は、それが好ましいと思っているのは確かです。


 同じように「手書きか否か」の議論をされるものに、“履歴書”があります。今でも「手書きの履歴書」を要求する会社は、採用の現場ではまだまだ結構多いです。

 そういう会社で必ず言うのは、「書いた字にはその人の性格が表れる」ということです。それが選考の上での重要な判断材料になるといいます。


 私の経験でも、そういう部分がまったくないとは言いません。ある応募者の履歴書で、自宅住所の漢字が間違っていたことがありましたが、後でおこなった筆記テストでも結果が悪く、基礎能力を判断する材料にしたことがありました。

 これは「手書き履歴書だったから判断材料が得られた」ともいえますが、それは「筆記テストでわかること」でもあります。


 ここで、例えば「字がきれいの人の方が仕事能力が高いか」といえば、必ずしもそうではありません。心理学用語で「スキーマ」という言葉があり、「無意識のうちにしてしまう、ある決まった物の見方や考え方」をいいますが、結局はそれに近いことです。要は「ある価値観に基づいた思い込み」ということです。


 私は、今の時代にあえて手書き資料を要求する必要は、もう無いと思っています。

 履歴書の話で言えば、例えば就活中の学生は多くの会社に応募するので、履歴書をその都度手書きするのは、思いのほか大変な作業です。修正液などを使ってはいけないと言われ、少しでも間違えれば一から書き直しです。


 「それくらいの手間を惜しむ人には応募してほしくない」という社長や採用担当者がいましたが、自社にとってはたった一枚のことであっても、学生は応募する会社の数だけ書かなければなりません。昨今の就活は、他にもエントリーシートなど書かなければならない書類がたくさんあるので、作業はさらに大変です。

 会社が手書きにこだわっても、そこから得られる情報は「字がきれいか」「誤字脱字がないか」程度のことで、手書きが多い業務内容でもない限り、重要な意味はありません。

 前述の窓口担当者がいう手書き書類の話も、結局は思い込みに近いもので、そんなことに他人の大切な時間を使わせるのは、無意味で失礼だと思います。


 手書きには手書きの良さがあり、必要な場面は確かにあります。ただしそれは、場面に応じた使い分けがあり、非効率で不要な場面がたくさんあります。その区別はよく考えなければなりません。

 それが事務的な書類の場合、手書きである意味はまったくないはずです。



カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 経営コンサルタント)
ユニティ・サポート 代表

組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。

03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。

料金
無料

組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。

【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

このコラムに類似したコラム

時代とともに「マナー」は変わる 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2024/02/29 23:37)

「カリスマリーダー」は配慮が細かいという話 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2024/01/31 23:26)

“無駄”と思えないから減らせない「無駄な会議」 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2023/11/08 16:13)

どんどん増える「コミュニケーションツール」を使い分ける難しさ 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/04/14 07:00)

「ウサギとカメ」を本当に実験した話から思ったこと 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/03/03 07:00)