会社が気をもむ「一人だけの新入社員」の帰属意識 - 人材育成全般 - 専門家プロファイル

ユニティ・サポート 代表
東京都
経営コンサルタント
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:人材育成

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

会社が気をもむ「一人だけの新入社員」の帰属意識

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 人材育成
  3. 人材育成全般
社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 お勧めの取り組み

 それぞれまったく別の二つの会社から、まったく同じような懸念の相談がありました。様々な事情から、「一人だけ」を採用することになった新入社員についてです。

 

 一社は過去に新入社員を採用した実績はあるものの、経営体制が変わるなどの事情があって、ここ数年間は新卒採用を行いませんでしたが、今期たまたま紹介を受けた学生を一人だけ採用することになったという会社です。

 もう一社は、これまでコンスタントに新卒採用をしてきましたが、今期の業績が厳しいために見送りを考えていました。しかし、世代の断絶は良くないということから、結果として一人だけ受け入れることにしたという会社です。

 

 どちらも、新人はしっかり研修をして、早く一人前に育てたいという意識が強い会社で、今までは社内でじっくり研修していましたが、今回は一人だけなので、社内では満足な研修が組めないことから、3か月ほどの期間の外部研修に行かせることにしたそうです。

 

 ここでの心配が、新入社員の自社への帰属意識です。どちらの会社もとても心配していて、私もアドバイスを求められましたが、大事なこととしてお伝えしたのは、心理学でいう「単純接触効果」もしくは「単純接触の原理」といわれることです。

 これは「個体間の親密さは、接触回数、接触頻度が多ければ多いほど増す」といったことで、人間関係で言えば「顔を会わせたり、話したりする回数、頻度が増えるほど、相手に対して好感を持つ」というものです。

 

 これに基づいてやるべきことは単純で、外部研修を受けている新入社員の様子をできるだけ見に行く、メールや電話でよく話をする、食事やその他、いろいろな方法でできるだけ頻繁に接触するように心がけることです。

 

 これはある会社であったことですが、配属直後から客先に1人で常駐することとなってしまった新入社員の上司が、その新人に「用事があってもなくても、毎日17時に必ず電話連絡をしてくるように」と指示をしました。

 

 この新人は、初めのうちはそこまで毎日上司と話す話題もないし、いちいち面倒だと思っていたそうですが、それが習慣になってくると、「ああ、今日はこの話をしよう」などと、その日にあったことを考えるようになったそうです。そして、ふとしたある日、自分の上司や自分の会社のことを、はっきりと意識するようになったと言っていました。

 

 上司の方では、毎日新人の電話の相手をしなければならずに大変だったと思いますが、会社への帰属意識という点では好ましくない環境だったにもかかわらず、その新人の気持ちをしっかりとつなぎとめたのは、とても素晴らしいことだと思います。

 

 この「単純接触効果」、「単純接触の原理」は、離れたところにいる新入社員でなくても使えるものです。信頼関係を作ったり、コミュニケーションを円滑にしたりするために、接する回数を増やすというのは、単純なことですが意外に効果的です。

 

 世代や価値観が違う、共通の話題がないなどといって、お互いが接することをついつい避けていたりすると、コミュニケーションが悪くなって、仕事の上でもその影響が出ていることがあります。

 もしも、自分の身近に今一つ折り合いが良くない上司や部下がいるならば、まずは単純に接する頻度を増やしてみることが、意外に良い方法なのかもしれません。

 

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 経営コンサルタント)
ユニティ・サポート 代表

組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。

03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【対面】「活気がない」「やる気が出ない」職場活性化を考える

当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。

料金
6,000円

「今一つ元気がない」「何となく一体感がない」など、職場の風土や雰囲気に関する悩みについては、当事者しかわからない事情とともに、当事者であるために気づきづらい事もあります。これまでのコンサルティングで、活気を維持する、活気を失う、活気を取り戻す、という様々な事例、プロセスを見た経験から、会社状況に合わせた原因分析、対策をアドバイスします。(同テーマのメール相談を、より詳細に行うための対面相談です)

【対面】「活気がない」「やる気が出ない」職場活性化を考える

このコラムに類似したコラム

「いらないと思うビジネスマナー」にも意味があるとわかってもらうには 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2023/01/18 22:24)

ビジネスパーソンとしての相互理解 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2020/10/19 10:57)

「店舗力診断」をしよう:その76入社3日以内に辞めるスタッフをゼロにしよう 松下 雅憲 - 店長育成・販売促進ナビゲーター(2014/11/22 06:21)

「売上を伸ばし続ける店長」がしているPDCAのまわし方:その35 松下 雅憲 - 店長育成・販売促進ナビゲーター(2014/08/02 06:53)

流れを意識したコミュニケーション 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2014/02/24 06:34)