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スポーツ心理学に学ぶ ‐ 動機づけ

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スポーツ心理学

前回は「継続は力なり」と題しまして、プラトーやスランプにめげず、練習や努力を続けることの大事さを説明しました。スポーツにおいても仕事や勉強においても、プラトー(停滞)は避けられず、ここをじっと我慢して乗り切った後にブレイクスルー(飛躍)が訪れます。プラトーは上級や達人の域に達してもなお生ずるもので、その道に入ったらならば、終わりなき鍛錬・修行をしていくことが求められます。

しかし「言うは易く、行なうは難し」、なかなか実践できないのが実情でしょう。ともすれば「三日坊主」となり途中で挫折してしまうのが世の常、人の常です。それでは「初心、忘れるべからず」とし、努力を続けていくにはどうすればよいのでしょう。その鍵となる概念が「内発的動機づけ」です。これは「外発的動機づけ」の対極となる用語で、周囲や外部からの義務や賞罰のための手段としてではなく、自分の中でそれ自体を喜びや目的としていく心理です。すなわち、お金がもらえるから、上司から誉められるからといった理由ではなく、「好きだから」「楽しいから」といった純粋な気持ちで練習や仕事をしてまいりましょう。このような気持ちでいると、報酬や成果に一喜一憂することなく、日々の練習や仕事それ自体を楽しみ、末永く続けていくことができるのです。

「自分自身はとにかく楽しんでサッカーをやりたいと正直に思います。その中には本当に厳しい戦いというのもあるかもしれませんが、自分自身が納得いくプレーができればそれが一番いいんじゃないかと思います。それが見ている人も喜んでくれることだと思います」三浦知良(カズ)、Number第26巻26号


一方で、外発的動機づけが主になると、昇給したり成功したりしているうちはよいのですが、いったんつまずくと、そこで目標を見失い、途中で投げ出してしまうことがあります。スポーツ選手で怪我や不振をきっかけに、気がつくと引退していることがあります。会社員でも失敗や不振をきっかけに転職を繰り返している方がいらっしゃいます。このような方々はスポーツや仕事の内容に喜びを見出せず、成績や報酬などに依存していることが少なくないのです。

この「内発的動機づけ」を抱くにはどうすればよいのでしょう。「好き、楽しい」と思いたくても思えないことが多いものです。そこで物事の取り組み方を工夫してみましょう(画像1をクリックすると拡大します)。まず、目標レベルを成功確率が50%位に設定します。到底不可能な「夢」を抱いても現実的でありませんし、簡単に達成可能なことは敢えて目標にするまでもありません。「できるかどうか分からない、でも頑張ればできそう」なくらいを目標にすると良いのです。すると毎日の練習や仕事へ自然に精が出るでしょう。

次に「他人からやらされている」のではなく、「自分の意志でやっている」のだという主体性を持つことが大事です。いわゆる「指し手感覚」を持つことで、逆の「コマ的感覚」に陥らないよう注意しましょう。自分で目標や計画を立て、達成していくことは自己効力感 Self Efficacy や Sense of Coherence も高まり、自分の人生を生きているという充実感や満足感を覚えることでしょう。

また、周囲から肯定的な評価、ポジティブ・フィードバックをいただけると、なお良いです。これは外発的動機づけに相当しますが、結果に応じた賞賛や報酬を得ることは良い意味での自信や自尊心 Self Esteem の向上につながり、内発的動機づけも高めることになるでしょう。したがって、身の周りの様々な要素を肯定的にとらえ、さらに精進していくという姿勢が望まれます。

最後に、結果のとらえ方についてご説明いたします(画像2をクリックすると拡大します)。当然ながら勝利や成功を収め、当初の目標も達成することが最高です。しかし、敗北や失敗をしたけれども、目標が達成できれば「とりあえずよし」としましょう。成功や勝利をしても目標が達成できなければ「いまひとつ」ということになります。大事なことは結果を自分の課題や目標と照合すること、他人や周囲の評価と比較しすぎないことです。あくまでも「自分は自分、他人は他人」という泰然自若な態度でいることが望まれます。そして、結果の成否にかかわらず原因は自分の「努力の有無」へ帰属する考え方が効果的です。「成功したのは自分が努力したから」「失敗したのは自分が努力しなかったから」と考えることで、今後の練習や仕事の動機づけにつながるのです。

以上、努力を継続するための方法をご紹介いたしました。内発的および外発的動機づけを上手に組み合わせ、運動や勉強、仕事などの生産的な活動を根気強く続けてまいりましょう。いずれも勝敗や業績にとらわれすぎず、生涯学習やライフワークとして、それらを行うこと自体が楽しみ・目的となるように心がけてまいりましょう。

「僕のイメージだとビルかな。目の前に200階建てのビルがある。僕は200階まで行きたい。早いのはエレベーターですよ。若い頃はエレベーターに乗って、あっという間に10階、20階と上がっていく。それが100階に近づくとなぜかエスカレーターになるんです。しょうがないからエスカレーターに乗ると、今度は150階あたりで止まっちゃう。エレベーターもエスカレーターもダメとなったら、もう階段しかないでしょ。一歩ずつ上がって、休憩して、また歩く。200階かぁ、まだ先だなぁ、とか言いながら(笑)」桑田真澄、Number第26巻26号

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