1週間のうち5日働いて2日休むというサイクルで働く「週休2日制」というのが、今の企業では一般的な勤務形態だと思います。
しかし最近は、「週4日労働制」を導入するような企業が出始めているそうです。従業員の健康にも良く、仕事の効率も高まったのだそうです。
そもそも1年365日は、地球が太陽の周りを1周する自然の周期ですが、自然現象が7日間ごとに生じる訳はなく、1週間が7日間というのは人工の周期であり、これを基準にしたサイクルは不自然なのだということです。
働き方のペースについてはいろいろな研究結果があり、週に55時間働いた人は、週40時間しか働かなかった人に比べて知的作業の効率が下がってしまうとか、人は休憩の後の90分間に爆発的な集中を得ることができるので、労働時間を減らして休憩を多く挟むことで、ただ長時間働くよりも効率的に仕事ができる、などということがあるようです。
グーグル社のCEOは、自社では実行していないものの「週4日労働制」を推奨していたり、あるIT会社では、従業員に対して1年間の半分は「週4日労働、週32時間」という勤務体系を採用していたりするそうです。
このように、効率的な働き方というのは、単に休みを増やしたり時間数を制限したりするだけではなく、どんな時間配分で働いてどんなペースで休むかなど、その中身によってずいぶん影響があるということです。
この話題から思ったのは、米大リーグレンジャースのダルビッシュ有投手が話していた、ピッチャーの投球間隔に関する話との共通点です。
大リーグの先発投手というのは、1試合の投球数を100球前後に制限し、中4日間隔のローテーションで登板が回ってきます。彼は、多くの投手がひじの靱帯損傷による腱移植手術を受けている現状から、この投球間隔に関する意見を述べています。
1試合の投球数を制限して負担を軽減することが主流となっている現状に対して、彼は「球数はほとんど関係ないと思う。120球、140球投げても、中6日あれば靭帯の炎症は全部取れる」と言っています。「ある程度まとめて長い時間働くことは問題ないが、それをリカバーするのに見合うだけの休息時間が必要である」ということです。
この話をしたのちに、彼自身もひじの腱移植手術を受けることになってしまいました。
今回の「週4日労働制」で紹介されている事例の中には、1日10時間労働での4日勤務というものもありました。同じ週40時間でも、勤務時間と休日の配分によって仕事の効率が変わってくるということです。
「週40時間の週休2日制」など、固定概念化してしまっている感がある「人が働くペース・サイクル」について、本当の意味での効率を念頭に置いて、少し大胆に見直しても良い時期なのかもしれません。
日本の場合はその前に、長時間残業や有休未消化などの問題がありますが、仕事の効率を基準にして考えれば、もしかするとこのあたりの解決につなげられるかもしれないように思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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