相続分の指定と相続債務

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公開日時
2012/09/29 12:47

【コラム】相続分の指定と相続債務

 相続財産に債務が含まれている場合,相続分の指定の効力は相続債務にも及ぶのかという問題がありました。

 近時,この問題に正面から答えた判例が出されました(最判平成21・3・24民集63巻3号427頁)。

 判例は,この問題を被相続人の意思解釈の問題であるとして,遺言により相続人のうちの1人に対して相続分の全部の指定がなされた場合,特段の事情のない限り,共同相続人間においては,法定相続分ではなく,指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて1人の相続人が承継することになると解しました。

もっとも,相続債権者との関係では,債務者である被相続人側の事情によって一方的に債務の承継割合が変更されることになり,相続債権者に不利益が及ぶことから,その指定の効力は及ばないとします。ただし,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないとしています。

このコラムの執筆専門家

村田 英幸(弁護士)

村田法律事務所 弁護士

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村田 英幸
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