大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「コンピューター思考を教える」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
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コンピューター思考を教える

- good

留学 大学・高校正規留学 2017-04-13 08:39

裏に魔法が隠れているようなコンピューター。 しかし、魔法なんて言ってる場合じゃない! 魔法と同じように考える能力が必須の今です。

New York Timesより


“Computational Thinking” (コンピューター的思考)は今や、幼稚園から大学までの教育者が必死でカリキュラムを作ろうとしている分野です。 私達の生活すべての分野を解き明かすための「コンピューター思考」を教える教育、コンピューターと同じ思考を身につける教育、これが将来への切り札だからです。


日本にいる時から、ロバートと二人、孤軍奮闘のComputer Science 指導を始めました。 遅れに遅れた日本の教育から、少数でも世界に届く能力を育てようと頑張りました。 が。 教育界はもちろん、社会での、”Computational Thinking”への危機感の欠如は目を覆うばかりでした。


え? 危機感あります!という方へ、世界の必死さをご紹介します。


まず、「コンピューターのように思考する」とは一体どういうことなのでしょう:

簡単に言うと、例えばミクルシェークを作るとしましょう。 苺シェーク、ブルーベリーシェークなど種類も様々、レシピも複雑にしようとしたら徹底的にややこしく出来る。 しかし、その基本プロセスレシピ、アイスクリーム、ミルク、砂糖、果物をいつ加えるかなどを、明確・簡潔にまとめること、これがコンピューター思考法です。 すべてのシェークをひとつに削ぎ落とし、複雑な行程を簡潔に要約する能力です。


詳細の見えないAbstraction(抽象的なもの)からパターンを分析し、複雑な詳細から明確な要約を絞り出す。 これがコンピューター思考です。

ほら、日本の教育に危機的に欠けている指導法だと思いませんか?


その「コンピューター思考」を鍛えるComputer Science は就職市場最強の武器ということで、2011年以来Computer Science 専攻の学生は2倍以上に。 Stanford, Princeton, Tufts 大学ではComputer Science専攻 が一番人気になりました。


驚くべきことは、専攻でない学生もComputer Science の中・上級コース受講者が200% 程度増えているとか。 コンピューター思考を見につけるために学ぶ coding が、問題解決能力・論理的思考能力に結びつくからなのです。


例えば、社会科学上の人間行動についての抽象的な問いに答えるのにも Coding は驚異的な働きをします。 問をDate Set に当てはめてみるのです。


「メデイアは自由派に偏見を持っているか?」には、主要新聞に自由派は保守派と比べてどれだけ掲載されているかを調べます。 そこから客観的な分析が可能になります。 こういうスキルが使えるようになれば、日常生活の効率も高まりストレスに押しつぶされることもなくなるはず。 感情を入れずに冷たくデータのみを当てはめてみる、ですね。


言語・文学の専門家もしかり、クリティカル・シンキング、問題解決法、分析法、論理的論争の練習は正に、Coding と同じ。 言葉を解きほぐし、合成し直す、これのスキルは Coding そのものです。


これを「英語言語」を通して日本の子供に教え込もうと必死で頑張った38年間でしたが、時代遅れの日本の教育の壁は厚かったですよ。

 

Computer Science は一歩づつ丁寧に解決に近づくスキルです。 とにかく即効正解がほしいという人にはこの上なく役に立つ訓練です。 一歩飛ばしたが最後すべてが成り立たなくなる、これがComputer Science ですから、いかにこれがすべての分野で役に立つかは明白です。


日本の受験生は5秒で気が狂いますね、模範解答がないんですから。


幼児期からの訓練も始まっています。 専門家が結集し、いかに脳をコンピューター思考に近づける訓練が可能かをデザインし、実行し、改良し、進めています。


3〜5歳時には4匹の猿が窮地に陥ったのを助けるコンピュータープログラムもNational Science Foundation が資金を出し登場。 いかに複雑な障害をひとつひとつ取り除き単純にしていくかを訓練するそうです。


私たちが日本で開発した、英語コンピュータープログラムBig John Math も、目的は同じ。 複雑な英語の文章題から、いかに必要な情報だけをシンプルに抜き出すかの訓練です。 これをやった日本の子供たち、英語言語をコンピューター思考で考えることに少し近づいたはず。


日本の小学生・中学生を指導してみんながはまったcode.org のブロックコーディング。実際にコードを書くかわりに、”forward” “turn” などのブロックを使いComputer Sciencesequence (論理的連続性)を学びます。”repeat” “stop repeat” を使うことで、プログラミングの重要な要素 “loop” を作ってしまいます。 Sequence に必要なステップをひとつひとつブロックで体験し、実際のコーディングに移った子供たちの理解力は予想を上回るほど高いのに驚きました。


とても重要なことですが、Computer Science はあくまで思考する媒体です。 その媒体を使い何を探求するのかの興味を育てることも同等に大切なのは当たり前。 特に、科学分野、生物、化学、物理などへの興味を換気し、覚えるのではなく、Sequence を見つけ出す。 こんな教育が日本にやって来るのを願って止みませんが、気の遠くなる将来かも。


カナダは国の方針として、Computer ScienceとBiology, Chemistry, Physics を統合した研究者の育成に巨額をお金をかけて乗り出しました。 その大学で Computer Science 専攻希望の日本の若い頭脳を助けたいですね〜。 カナダにも日本にも大きなプラスになりますから。

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