- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
今日はほんとは、あんまりお見せしたくない写真から。
昨年いちどコンベクションオーヴン(風が回るタイプ。たいていの家庭用のオーヴン)とデッキ(直火式)オーヴンの違いについて、フィナンシエでブログに書いたことがあるのですが、今回は、フィユタージュ(折り込みパイ生地)です。
これは先日の製菓基礎の授業の傍ら、自分の検証のために(ちょっと違う配合で)焼いたガレット・デ・ロワです。
思いつきで、「そうだ、せっかくだから久しぶりにコンベクションでガレット・デ・ロワを焼いてみよう」と思ったのです。
デッキ式で焼いたものとのあまりの違いに、自分でも久しぶりにびっくりしました。(自分用なので気を抜いていた・・こともあり、相当に美しくありません。言い訳!)
フィユタージュは教科書的には、コンベクションオーヴンよりデッキオーヴンが向くとされます。風の力を借りてふわっと膨らむのは良いのですが、けっこう暴れてしまいます。端もめくれ上がり、今にも口を開きそう! 上に向かってぱん!と膨らむ分、きゅっと縮まり、サイズが一回り小さくなってしまいます(もちろん最初から一回り大きく伸ばせばいいだけの話しです)。
10年以上前に自宅で教室をしていたときは、こちらのコンベクションでガレット・デ・ロワを焼いていました。今の教室に移転してきて、生徒さんの人数が増えたこともあり、今はデッキで(一度にたくさん焼けるので)焼いています。
さらにはいつだったかフィリップ・ビゴさんが「ガレット・デ・ロワは老若男女、お金持ちもそうでない人も平等に中のクリームを食べることができるように、なるべく大きく、薄く作らねばならない」とおっしゃっていたことにも影響を受けています。
「へえぇぇ・・知らなかった!」
だったのです。じつはフランスで売られているガレットはおおらかにばんばん膨らんでいて、私はずっとそういうものだとばかり思っていたのです。しかし日本で売られるガレットは薄くてぴしっと美しく、「薄くてきれいだけど、生地をケチってない?」なんて、失礼なことを思っていたのです。
本当は日本のパティシエのほうが、宗教的な意味合いを正しく食べ手に伝えていたことを、そのとき初めて知ったのでした。
以来、私も、設備のこと、意味合いのことを考えて、なるべく、ピシッと薄く焼けるように努めてきました。
だから久しぶりにコンベクションで焼いたガレットを食べました。
とてもおおらかな味わい!
コンベクションで焼くと、フィユタージュがからっ、ふわっとするようです。もちろん個人の好みではありますが、私はコンベクションで焼いたガレットがやっぱり嫌いではありません。暴れやすいので、デッキオーヴン以上に気を遣わないとなかなか美しく焼けませんが。
だからお家のオーヴンがコンベクションの方、教科書的には向かないとされているとしても、どうか安心してください。おいしいものが焼けるはずです。
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