鉄筋コンクリート(RC)の建物は丈夫です。木造の建物には真似の出来ない何十階建ての建物も建てる事が出来ます。木造では姫路城や法隆寺五重の塔が限界でしょう。では地震にも木造より強いのでしょうか?
コンクリートは硬さが最大の長所です。あの硬さで何層でも階を重ねる事が出来ます。欠点は脆さです。硬い故に粘り気が無く、一旦倒壊が始まると瓦礫になるまで倒壊が続きます。アメリカでの爆破解体映像をご覧になった方もおられるかと思いますが、一階の柱を爆破しただけで垂直ドミノ倒しの様な感じで綺麗に粉々になります。爆破しないと壊れないのはコンクリートの中に鉄筋が入っている為です。鉄筋の粘り気がコンクリートの脆さを補っているのです。地震の発生しないアメリカでは鉄筋の太さや本数が少ない為、爆破解体が可能なのです。地震国の日本ではアメリカと比較できない位鉄筋が入っていますので爆破解体に向きません。阪神大震災の時神戸市役所の6階が倒壊しましたが、その他の階は健全でした。
地震に耐えられる様に鉄筋が入っていて、丈夫な鉄筋コンクリートですが、どの程度鉄筋を入れれば良いか定めているのが建築基準法です。基準となっている強度は大雑把に云えば関東大震災に耐えられる程度と云うのが基準です。これは鉄筋コンクリートに関わらず、木造でも同様の強度が求められています。つまり法律の上に於いては、鉄筋コンクリートも木造も地震に対しては同じ強さしか求められていないのです。
電車が飛び込んだら木造の家では粉々になってしまいますが、鉄筋コンクリート造ではビクともしません。しかし、地震エネルギーは電車の衝突エネルギーと比較にならない位大きく、そのエネルギーの影響は重たい建物程大きく受けます。重い鉄筋コンクリート造は木造よりも大きな地震エネルギーを受けてしまうのです。
ですので、鉄筋コンクリートの家だから地震に強いとは決して言えないのです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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