ディテールの話 - 民事事件 - 専門家プロファイル

菊地総合法律事務所 代表弁護士
弁護士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:民事家事・生活トラブル

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

ディテールの話

- good

  1. 暮らしと法律
  2. 民事家事・生活トラブル
  3. 民事事件
弁護士業務

 私の妻の魅力は星の数ほどありますが、その一つにディテールに詳しい、というのがあります。

 例えば、おいしいお菓子屋さんがあったなあ、どこだったかなあ、という話になったとき、妻は、緑色の看板があった、しゃれた窓があった、あの通りのコンビニの隣にあった、という風に、写真のように記憶しているようなのです。フォトグラフィック・メモリーというやつですね。

 私はといえば、まず、どこかに行く途中にあったような気がするなあ、という感じ。そして、どこに向かっていたときだったかな、何時だったかな、誰それと話をしたときに話題になったなあ、と記憶を探っていくわけです。

 私の弁護士としての職業上の話では、裁判での事実認定の話に関係します。一般の方も、裁判員裁判で裁判員になると自分の話しになりますよ。

 事実認定の手法にはいくつかあるのですが、大きく分けると、ディテールによる方法と、ストーリーによる方法があります。例えば、包丁で人を刺したケースで、殺意があるかどうかが問題となった場合には、ディテールによる方法では、包丁のサイズ、刺された箇所、深さ、刺した方向などの事実から判断します。心臓をめがけて強く刺していれば、殺意を認める方向に傾きます。これに対して、ストーリーによる方法では、犯人と被害者の関係、とくに顔見知りか面識がないか、例えば犯人が被害者に対して恨みを持っていたか否か、包丁を示すだけのつもりであったかどうか、偶然出会ったのか、会う予定であったのか、などの事実から判断します。強い恨みをもっており、計画的に待ち伏せていたのであれば、殺意がありそうだとなります。

 実は、この二つの手法は、相反するものではなく、双方ともに考慮すべきものです。昨今、ストーリーを重視しようという傾向がありますが、細部も大事なのです。

 先の話に戻せば、ディテール派の妻と、ストーリー派の私、となるのですが、妻の方が、幸せ多いのは間違いなさそうです。だって、神は細部(ディテール)に宿る、と言いますから。

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(弁護士)
菊地総合法律事務所 代表弁護士

依頼人の法的権利を実現する─それが私どもの願いです

全国各地の相続、不動産、同族会社の案件を中心に幅広く、新都心さいたま市を拠点として、永年にわたり多数手懸け解決しています。企業法務や病院・医院、寺社の法務にも精通しております。遺留分減殺請求、株式買取請求、為替デリバティブに実績があります。

カテゴリ 「弁護士業務」のコラム

不動産売買契約の決済(2017/09/13 13:09)

大塚弁護士が酒を飲む理由(2015/09/15 14:09)

伊勢丹浦和店とクレーマー(2014/01/16 15:01)

このコラムに類似したコラム

埼玉弁護士会会館 大塚 嘉一 - 弁護士(2007/05/03 15:41)

マランツ8Bを修理する 大塚 嘉一 - 弁護士(2023/06/07 11:36)

大塚弁護士が酒を飲む理由 大塚 嘉一 - 弁護士(2015/09/15 14:43)

紐靴 大塚 嘉一 - 弁護士(2015/05/13 12:44)

「私の視点」、私の失点。 大塚 嘉一 - 弁護士(2013/12/16 11:08)