小欲を知り大欲を持つ
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以前、私の師である松井さんと人の持つ欲についてお話ししていた時、次のようなことを仰られました。
「小欲を知って大欲を持てばいいんだよねぇ。」
気功整体の施術でも同じなのですが、いつも松井さんは細かい説明はしません。
何かを伝えると人は決めつけてしまうようなところがあるからです。
仏教の言葉の中に「小欲知足」という言葉がありますが、その意味は欲を少なくして満足を知れということ…。
では、小欲と大欲の違いって何でしょう?
欲というと、「貪欲」などと言うように、仏教ではあまり良い意味に使われていないことが多いです。
貪欲というのは自己中心的な欲のことなんですね。
つまりエゴというものに結びついていきます。
貪欲の話しをすると、こんなことを仰る方がいます。
「欲が捨てきれないんです…。」
私も仏教を学ぶ前までは、欲が悪いものなのかと思っていたこともあります。
ですが、本当は欲が必要無いということでは無いんですよね。
食欲や性欲も必要だからあるのですし、精進の原動力にもなります。
正しい方向へ向かうのであれば欲も必要なんです。
では、善いことをすることが大欲かと言うと、それもどうなのでしょう?
自分が善いことをしていると思うと、していない人を軽蔑することもあります。
坐禅や瞑想をしている人が初心者を見下すようなこともあります。
自分の心が対象に支配されてしまっている以上、善いことであっても悪に転落してしまうことになります。
実は欲というものの遥か延長線上の先に「無欲」というものがあります。
これはもう究極的な話しになってきますが、無欲が欲の最終地点なんですね。
「欲を起こして無欲を求める。」
もしかしたら、無欲を求めて行くことが大欲なのかもしれません。
矛盾しているようにも見えますが、無欲になろうとして善への心掛けを捨ててしまうのも違います。
小さなことにこだわるエゴの欲求を捨て、仏を目指す精進は捨てない…。
ちょっと難しく感じるかもしれませんが、有ると思っているものの中に無く、無いと思っているものの中に有るのが本当のところなんですね。
願わしい対象でもある欲。
あなたはどんな欲を追い求めていますか?(^_-)-☆
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