住職と猟師と観音様
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不思議な話しが大好きな人は多いのではないかと思いますが、昔、こんな話があったと聴きます。
あるお寺の住職の所に猟師が訪ねてきました。
すると住職がこんなことを言います。
「最近、このお寺に観音様が出るようになったのです。もし良かったらもう少し留まって行かれてはいかがでしょう。」
住職は猟師にお茶を出した後、ご本尊に向かってお経を上げ始めます。
少し経つと住職がお経を上げる後ろの方から光が射しこんできました。
するとお寺の向こうから白象に乗った観音様が現れました。
住職は嬉しそうに読経を続けていたのですが、その時、「バーン!」と大きな音が響き渡りました。
と同時に光も消えてしまったのです。
何事かと住職が振り向くと、猟師が鉄砲を構えていました。
「何をしたんだ!?」
「化け物が出たので撃ったのです。」
「何て事を…。あれは観音様だ!」
「いえ、あれは化け物に間違いありません!」
二人はそれぞれ「観音様」「化け物」と言い合い話がつきません。
夜も更けてきたので、また明日の朝に様子を見に行こうということになりました。
翌日の朝、住職と猟師が二人で観音様が見えた辺りまで行ってみると…。
血の跡が続いています。
「これは…?」と後をつけて行ってみると、川のほとりで狸が死んでいるのを見つけました。
「昨日の観音様は狸だったのか…。」
実は狸が観音様に化けて住職を弄んでいたのです。
自分の間違いに気付いた住職は猟師に尋ねます。
「どうして観音様が偽者だとわかったのですか?」
「いえ、私にそんなことはわかりません。」
「でも、あの時に観音様でなく化け物だと仰ったじゃありませんか。」
「私はご住職のように徳を積んでいるわけではありません。ご住職に見えるならまだしも、私のようなものに観音様が見えるわけは無いと思ったのです。」
と、こんな話があります。
猟師の話しを聴いた時、住職は自分の思いあがりを恥じるんですね。
今までやってきた功徳のおかげで観音様が現れたと思っていたからです。
いろいろと学んで知識を深めていくと、「自分は凄い」と心のどこかで思ってしまうことがあります。
表向きは謙虚に見せていても、心の中は違うんですね。
プライドが高くなり、虚栄心が強くなっていくのです。
その心があるが故に目が曇り、ありのままが見えず騙されてしまうのです。
「自分はわかっている」と思い込んでいる人ほど騙されやすいのだと思います。
利口に見える人ほど愚かで、愚鈍に見える人ほど賢いのかもしれません。
自分を偽って賢く見せて生きていくのはツラいものです。
アホっぽく見られていた方が人生は楽なのではないでしょうか(^_-)-☆
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