- 松下 雅憲
- 株式会社PEOPLE&PLACE(ピープルアンドプレイス) 代表取締役
- 東京都
- 店長育成・販売促進ナビゲーター
対象:人材育成
店舗ビジネスが事業の基幹であるとき、新店舗を出店していくことは、企業規模の拡大の絶対条件です。
この新店舗開発は、店舗開発部の仕事。
一方で、その店舗を預かる営業部は、今ある店の業績を伸ばし続けるのが仕事。
双方とも、目的は、既存のお客様と、新しいお客様の満足度向上をベースにした業績向上。
その業績が、事業の継続に繋がり、それがまたお客様の満足に繋がる。
しかし、同じ目的を持ちながら、なぜか、「営業部」と「店舗開発部」の壮絶な戦いが繰り広げられている会社があります。
こう言う会社、実は少なくありません。
業種に限らず、たくさんあります。
社内で、足の引っ張り合いをすることさえあります。
この戦い、結果は、社内で力関係が強い方が勝つ事が多いようです。
それは、その方が会社の為になるからではありません。
力が強い人の業績評価が上がるだけです。
前回は、同じ会社内なのに、こういう風に部門間同志で戦いある不思議な光景が、結構そこら中で発生していることをご紹介しました。
ブログ更新後には、
「だよね~」
「ですよ~」
「あるある~」
と言う声がたくさん寄せられました。
では、どうすれば、この問題を解決出来るでしょうか?
日本マクドナルドの創業者、藤田田氏は、中立部門としての「出店調査部」を作り、その部門で売上予測をさせるようにしました。
社内では、部門同志で競い合うと言うことが起きることをあらかじめ想定していたからです。
だから、健全な中立部門として、出店の可否判断をする出店調査部を作ったのです。
日本マクドナルドのこの部門の理論武装力は、世界一です。
既存店舗の売上げをベースにした、新物件の売上予測モデル。
日本初の、汎用GIS(地理情報システム)の開発。
出店ミスを防ぎ、更に、多店舗急速出店の実現もこの部門の活躍があったからに他ありません。
営業部の立場からしても、この場所は売れる、と彼らに言われれば文句は言えない。
それくらい高い信頼性がありました。
しかし、これでうまく行くのは、あくまで組織間のパワーバランスが取れているとき。
ちょっとでも、店舗開発部が強くなったり、営業部が強くなると、間に挟まれている出店調査部では、コントロールが出来なくなっていきます。
ただし、拮抗しすぎていても、三竦み(さんすくみ)状態になります。
どちらにしろ、会社の出店戦略は、前に進まなくなります。
要は、売上と利益と店舗数が、全部上昇すればいいのです。
どこかの部門だけが勝つのではなく、チームで勝てばいいのです。
そこで考え出されたのが、PMO(Profitable Market Optimization)という考え方です。
※日本語訳(商圏内利益の最大化戦略)
これは、半径10~20kmくらいずつのエリアに全国を1000分割し、そのエリア毎に利益を最大化するという考え方です。
そして、それの戦略と戦術を立案・実行するチームに、営業部・店舗開発部・出店調査部・マーケティング部などが全員で関わるのです。
業績目標の内「売上」「利益」は、チーム全員の共同責任。
各部門個別目標として、「顧客満足度」「人材育成」「出店店舗数」などがそれぞれ設定されるのです。
こうなると、お互いに責任をなすりつけている暇はなく、互いに協力して担当エリアの業績を上げるようになります。
店舗の改装なども、この考え方に準じて、エリアの商圏特性に合わせた計画と投資が行われるのです。
マクドナルドの躍進は、商品力とマーケティング力、現場力と、このエリア戦略が上手くマッチングしたことが成功要因と行って過言ではありません。
では、こう言う戦略は、中小のチェーン店運営企業でも導入可能なのでしょうか?
もちろん可能です。
3000億、4000億円の売上規模などはなくても、この考え方は導入可能です。
詳しくは、次回に続く~
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