新築住宅の間取りを考える時、二つのキーワードがあります。ライフスタイルとライフサイクルです。何十年と住まう家を考える時、今最もフィットする間取りを考えても後々住みづらくなります。それはライフスタイルとライフサイクルが変化する為です。
ライフスタイルは簡単に言えば好みです。寝室は、和室が良いか洋室が良いか、と云った好みの問題です。この好みは本質的に変らない部分もありますが、人や環境の影響で年を経るごとに徐々に変化して行きます。私自身も若い頃はジャズやポップスが好きでしたが、最近は演歌も悪くないと感じています。この様に歳を経ると家への好みも変ります。ベルサイユ宮殿の様な派手な家が好みだったのが、桂離宮も捨てがたくなってきたりします。
ライフサイクルは、人が一生を過ごすうちに、その人を取巻く環境が変る事を意味しています。独身時代はワンルームマンションでも不自由なく暮らせます。結婚するともう一部屋欲しくなり、子供が出来ると子供部屋が必要になります。若い頃はカジュアルな家がお気に入りだったのが、社会的地位が身に付くと、家にステータスを求める様になったりします。ライフサイクルでも家の好みは変るのです。
ライフスタイルとライフサイクルにあわせた家を造るのは中々簡単に出来る話しではありません。その時々を鮮やかに彩ることの出来る可変性が、家には求められます。
簡単に間仕切りを移動させて部屋の大きさを変えられるとか、元々間仕切りを造らずに家具で部屋を間仕切ってしまうとかの、部屋の仕切り方を変えることや、床を取り外して吹き抜けを造ったり出来ることが出来れば、その時々のライフスタイル・ライフサイクルに合わせた家となるでしょう。
このコラムの執筆専門家

- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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