【聴心記「心の炎」】第15回 魂(3)・・・・課題を知る - 心の病気・カウンセリング - 専門家プロファイル

国府谷 明彦
カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
東京都
厚生労働省認定 産業カウンセラー

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【聴心記「心の炎」】第15回 魂(3)・・・・課題を知る

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【聴心記「心の炎」】第15回 魂(3)・・・・課題を知る

今回は聴心記「心の炎」です。・・・・・・【WEBセミナ】認知行動療法講座と同時並行中

前回は「心と課題」のお話でした。「人生に苦痛や不安が多いのは,そこに人生の課題があるからである。そして,人生の課題を解いているときの感情の側面にばかり注目するから,苦しさや不安がクローズアップされてくる」ということでした。今日は「魂」のお話の第3弾として,「今,あなたの人生の課題は何でしょうか?」そんな問いかけを考えたいと思います。

人はそれぞれ全く違う環境に生まれ,全く違う人生を送る中で,それぞれに違った課題に直面しています。それぞれの状況に合わせた課題が出現していると言うことになります。前回お話ししたように,貧しい家庭に生まれてきたことによる課題であったり,金持ちの家庭に生まれて来たことによる課題であったり,平凡な家庭に生まれて来たことによる課題だったり,自分自身の身体の不具合により直面する課題だったり,人それぞれに課題を抱えています。

これをちょっと違う形で眺めてみましょうか。それぞれの境遇故に,そこに課題が出現するというのではなく,逆に考えてみるのです。その課題に直面するために,環境や状況を選んで我々が生まれてくると考えてみましょう。

たとえば,人のいじめを受け,それを精神的に克服するという課題に直面するとします。この時,気の強い性格に生まれつき,ごっつい骨太の身体に育ったとしたら,どうでしょうか? いじめられるというよりは,いじめる側にまわる確率の方が高くなるように思います。課題がクリアできるというより,まず,課題に直面することすら,なかなかできないかもしれません。気が弱いとか,身体が弱いというようなお膳立てがあってはじめて,いじめられるという状況が出現すると思います。

ということは,最初にクリアすべき課題がある。それをクリアするのに,最適な環境を選んで我々は生まれてくると考えることができそうです。家庭の環境,両親の人柄,兄弟の有無や性格,親戚や友人,学校の先生に至るまで,課題に最も適した状況を選んで生まれてくる。さらに,性格や能力も,課題に最適なものを持って生まれてくる。そうした状況の中で,その人なりに育ち,価値観を育み,それが課題に取り組む最適な状況を作り出すのではないでしょうか。

こう考えてくると,おもしろいことに気づきます。人の能力やその発達成長は,課題の出現に向かって一直線に進んでいきます。能力がありすぎても足りなくても,早すぎても遅すぎても,課題にはうまく適しません。すべてが必要な形,必要な時期に,必要なスピードで整えられていく訳です。

能力の優劣を人と比べても意味がない。ひたすら課題に対して最適かどうかということが大切な要素です。性格も同じで,この性格だから課題に向き合えるといったことが起こります。性格改善することが,自分の課題を遠ざけてしまうことになるかもしれません。その課題に直面することが人生だとすれば,課題を遠ざけることは,人生を無意味なものにしてしまうかもしれないのです。ありのままに育ったありのままのあなたが,一番あなたの課題にジャストフィットする人であるといえます。

地球に住む60億の人間は,誰1人として同じ環境で生まれてはいません。さらに,時代を過去や未来に移したとしても,誰1人として同じ境遇の生まれの人はいないはずです。ということは,あなたの今解いている課題は,唯一あなただけが解いている課題です。同じ課題は,地球上のどこにも,過去にも未来にも,どこにも存在していない。あなたの答えが,人類の答えと言うことになります。そんな貴重な体験を私たちはしている訳です。苦しいとかつらいとか言っている場合ではないかもしれませんね。

さて,課題の中身に入りましょう。一人一人異なる課題ですが,それをどうやって理解すれば良いのかと言うことです。そのとき,大きな手がかりになるのが,生まれ育った環境です。どういった性格の両親の元に,どんな時期に,どんな状態で生まれて来たのか。それが,ひとつのヒントになります。また,自分の人生の中で,頻繁に出くわす悩み事やトラブルも,大きなヒントになります。課題であると言うことに気づかないでいればいるほど,そうしたトラブルや悩み事は,次第にエスカレートして我々に襲いかかりますから,似たような問題がだんだんひどくなりながらやってくるときには,それが課題だと意識しても良いでしょう。

この時,ひとつ大切なことを意識して下さい。例えば,「いじめられることを経験する」というのでは,課題になりません。「いじめられる経験をして,どんな風に考え感じれば,自分の不安や苦痛がなくなり,安心し幸せに感じられるか」というのが課題になります。必ず「不安や苦痛がなくなり幸せに感じられる思いや体験」というのが課題の本質です。

そんな点に留意しながら,自分の課題がどこにあるのかを探ってみてはいかがでしょうか。実は,これは他人にはわかりません。本人だけがすべての意味を知っているからです。あなたの課題は,あなたにしかわからない形で出現しているのです。

次回は,「魂」の話の4回目。「課題の向こうに何があるのか」というお話をしましょう。
【2012.6.20: 聴心記「心の炎」は不定期で展開します】

【お知らせ】 近々,新しいセミナを開催します。うつや不安,対人恐怖に悩む人,あるいは,自分の性格が気になる人に向けて,「自分の考え方・感じ方を変えるセミナ」を開催します。15名くらいの定員のセミナで,話を聴いたり,いろいろと実習してみるセミナです。全3回くらいのセミナで,ご自分と同じ悩みを抱える方と知り合いになれるようなものにしたいと思っています。「心の炎」の内容にも,触れるセミナにしたいと思います。
セミナに興味がある方いらっしゃいましたら,「興味あり」とメール下さい。どのくらいの希望があるか知りたいと思います。よろしくお願いします。
メルアド: info@choushinkan.com

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