- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 平 仁
- (税理士)
生命保険業界に朗報です。
本日4月27日、「法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の
保険料の取り扱いについて(法令解釈通達)」が発遣されました。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/010810/pdf/240418.pdf
この新通達によると、本日4月27日以後に契約した「がん保険」に
ついては、これまでの全額損金から半額損金に変更されます。
保険契約者に不利な改正を、私がなぜ「朗報」というのか。
最高裁平成23年9月22日判決と同30日判決の存在があるからです。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110922144731.pdf
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110930143252.pdf
ここでも何度か取り上げていますが、平成16年税制改正における
土地建物等の譲渡損失に対する損益通算を廃止する改正について、
法案成立が3月30日、改正法施行が4月1日でありながら、
改正法の適用を1月1日に遡ることが許されるか、を巡る事件です。
最高裁は、平成15年中に新聞報道がなされ、税理士等がHP等で
啓蒙していた事実があるから、国民には、改正内容が周知されていた、
として、納税者敗訴判決を下した、というものです。
つまり、事前に国民に不利益な改正が行われることを周知されていれば、
国民に不利益な法改正であっても、周知された時点に遡って改正法を
適用することは憲法違反とはいえない、というのですね。
ですから、わずか半年前の最高裁判決の趣旨を踏まえて、
今回の通達改正による適用が、パブリックコメントを求めた2月上旬に
遡る可能性を否定できなかったわけです。
私のところにも、いくつかの保険会社から節税商品として「がん保険」を
販売する最後のチャンスとばかりに売込みがありましたが、
税理士代理店がこの判決を知らずに販売していたら、
税理士賠償訴訟の対象になりかねないと危惧していたわけです。
だからこそ遡及適用がなくなったことで「朗報」といったわけです。
しかし、4月決算法人の決算対策として、今日販売すると、アウト。
昨日の契約までしか全損での節税メリットを享受できません。
ご注意頂きたいものです。
このコラムに類似したコラム
節税商品だった法人契約のがん保険が改正で半額損金扱いに!? 三瀬 宏太 - 税理士(2012/03/16 16:58)
法人契約終身がん保険、全損から半損へ、国税庁パブコメ募集中 平 仁 - 税理士(2012/03/01 13:51)
23年度税制改正大綱(5保険年金に係る最高裁判決を受けた対応他) 平 仁 - 税理士(2010/12/21 09:00)
全額損金の法人がん保険 澤田 勉 - 保険アドバイザー(2010/08/03 21:32)
年金二重課税事件判決を受けて、国税庁、HPで対応表明 平 仁 - 税理士(2010/07/17 00:24)