内科の外来診療で最近とみに目立つのが、40代から50代にかけての女性が多彩な症状を訴えて来院されるケースです。頭痛、肩凝り、動悸、手足の冷え、のぼせ感、多量の汗、不眠、イライラ感、めまい、全身倦怠感、気分の落ち込み、など症状は様々で、多くの方はこれらの症状を2つや3つ、多い人では5つも6つもお持ちです。症状の重さも人によってまちまちで、重い人では日常生活にかなりの支障を来たしています。
これらの症状の原因を調べるため、医療機関では血液検査やレントゲン、心電図などの検査を行ないますが、多くの場合「大きな異常なし」との判断が下されます。つまり血糖値やコレステロール、貧血などの値、心電図などに大きな異常所見がないため、重大な病気はない、という診断です。そして「ストレスが原因でしょう」とか「少し様子をみましょう」などと担当医から告げられた、という話はよく聞きます。
また患者の各々の症状を抑えるような薬が処方されることもよくあります。例えば肩凝りや頭痛に対しては鎮痛剤、不眠に対しては睡眠導入剤、イライラ感に対しては精神安定剤、といった具合です。しかしながら各々の薬は個々の症状を軽減させますが、一連の症状を全体として解決することは出来ません。その結果、症状が増える度に薬の種類も増えていき、いつの間にかたくさんの薬を飲むことになってしまいます。
このような多彩で原因がよく分からない症状は多くの年齢層でみられますが、特に目立つのが40代から50代にかけての女性です。この年齢層は一般に「更年期」と呼ばれ、女性特有の現象である生理(月経)が終了する「閉経」の前後5年くらいの拡がりを持つ世代です。閉経の時期は個人差がありますが、平均して50歳とされることから、45歳から55歳くらいの年齢層が更年期の主体となる世代です。
その閉経をはさんだ世代の女性にみられる上記のような一連の諸症状は、一般に「更年期障害」と呼ばれています。閉経前には生理の間隔が次第に不規則となり、出血量も減っていき、やがて止まってしまいますが、それと前後して様々な不快な症状に見舞われるようになります。そして閉経の後数年が経ち、60歳を過ぎて老年を迎える頃には、そのような症状も次第に落ち着ていきます。
すなわち更年期とは、20代から45歳くらいまでの生殖に適した年齢層から、60歳以上の老年層に至る過渡期に相当します。この時期には毎月の生理が終了するという、女性にとっての大きな変化がありますが、この年代層の女性は何故、頭痛や肩凝り、めまい、イライラ感、のぼせ感、動悸といった不快な症状に悩まされることになるのでしょうか。それは体内のホルモン環境の激変と大いに関係があるのです・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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