【聴心記「心の炎」】第4回 感情とのつきあい方(2) - 心の病気・カウンセリング - 専門家プロファイル

国府谷 明彦
カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
東京都
厚生労働省認定 産業カウンセラー

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【聴心記「心の炎」】第4回 感情とのつきあい方(2)

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 前回,感情はそんなに長くは続かないというお話をしました。感情が長続きしないというのであれば,何年も悔しいというのはどういうことなのでしょうか? きっかけとなったことを記憶や概念として覚えていることはあります。実は,その記憶を思い出すことがきっかけとなって感情は何回でも再生産されます。ずっと悔しいというのは,何回でもきっかけを作って自分で感情を再生産していることなのです。「思い出して感情が出る。感情が出るからさらに記憶が出てくる。また感情が出る。」という形で何度でも感情を味わいます。PTSDの要素として,フラッシュバックがあります。恐怖体験の当時のことを突然発作的に思い出して苦しい状態になることなのです。このフラッシュバックがあること自体がひとつの証となります。感情はずっと続いているというのではなく,フラッシュバックを感じる以外の時に,その感情はおち着いているという意味にほかなりません。

 一方で,感情そのものと言うよりも,感情を感じる基盤として,感受性やデリケートさ,脆弱性と言えるようなものがあります。それが高ぶっていると,感情は出やすくなる。身内や親しい人が亡くなったときには,誰でも感情の基盤が高まっています。いわゆる死別反応と言うものです。また,PTSDとなっている状態というのも,そうした感情の基盤となるものが非常に高ぶっている状態と言うことになります。逆に新婚夫婦の場合に,箸が転がっても可笑しいというのも,こうした感情の基盤が高まっていると言えるかもしれません。

 感情の基盤が高まっている,いわゆるナーバスな状態ては,感情そのものが出やすくなります。こうした感情の出やすさはコントロールできません。出てきた感情を押さえ込んだり,なかったことにして見て見ぬふりをすると,そうした感情は蓄積していきます。このことは前回お話ししました。出てきた感情を,見つめて通り過ぎさせることが肝心です。その感情に乗っかってしまうのではなく,静かに自分の内側で,感情がどんな風にいるのかを,上の方から眺めているような感じになれば良いのです。眺めている内に,感情は下降して消えていきます。消えていかない場合でも,小さく下火になったところで,感情を手放してしまう,つまり,それにこだわらないようにするのです。

 文句を言われて悔しいと言うときに,見つめて通り過ぎさせると,悔しさは小さくなっていきます。その時に,自分で状況を思い出して,その悔しさにまた火をつけてしまうことが多いのです。鼻をかんだティッシュをぽいっと捨ててしまうように,悔しさに注目せずにぽいっと手放してしまえば良いのです。こだわって,その感情をつかんで話さずにいる限り,その感情はいつしかあなたを支配し命令するボスになってしまいます。その感情にあなたが乗っ取られた状態と言えるかもしれません。乗っ取られる前に,あなたの方からぽいっと感情を手放してしまいましょう。
 【2012.3.16:このコラムは不定期に更新されます】

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