
- 遠野 未来
- 遠野未来建築事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:新築工事・施工
■ 最後に。当事務所のスタッフで、このインタビューをまとめてくれた五十嵐 祥兵くんがはじめてこの家を訪れ、建主さんの家づくりへの志について感じたことをお送りします。
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今回のインタビューで、私が強く感じたのは、施主さんをはじめ、家づくり関わる人の志でした。
現代の傾向としての家とは、性能をいかに効率よくだすことを重要視するなか、見落としている部分があります。それは、自然です。
効率を求めれば求めるほど、安定した人工物を使用し、自然と切り離して考えていきがちですが、自然を取り入れて性能をだすという発想がシンプルでトータル的な視野で効率がいいのではないかと思います。そういう仕組み、方法を知っている施主さんや携わっている遠野さん、工務店さん、ワークショップのお手伝いした方の中で共通した思いが繋がって今回の‘みらいのいえ’ができたのではないかと感じました。
また、今年3月の地震で、被災者に関わらず客観的に今の社会を考えました。私たち個人も含め見直さなければいけないことが浮き彫りになったように感じます。その一つが、住むことではないでしょうか。
人間の生活の基本は、衣住食ですが、被災者の方は家ごとと流さて財産も失った方も少なくない中、国からの補助金も満足にでずに不安な日々を送っていることだと思います。TVで被災地の町長が「権限とお金」がほしいと言ってましたが、そのとおりだと思う反面、お金があればなんでもできるがご時世なのかと改めて思いました。
被災地の方も私たちもこれから最低限度生きていく中で必要なのはお金ではないです。持続する衣住食です。それさえも資本主義上で運用しているは、なにか違うと直感的に感じましたし、今回の補助金の額をみるかぎりでは、システム的に対応し切れてないと思いました。
だからといって、私は資本主義を根本的にかえればいいとは思っていなく、衣食住に関する身近にできることから各々が各テーマで行動すればいいと思います。私の場合、住に関して、循環する自然素材を使用してコミュニティで作り上げるセルフビルドで建てる家です。やり方によってはお金をなるべく使わず建てることも可能であり、なにより生活基盤を自分たち、なかまたちで築くという生物的発送がもたらす生きる上で必要な考えだと思います。
今回の‘みらいのいえ’でのワークショップには参加しておりませんが、他の現場で参加したことがあります。私がその家に将来的に住む家ではないけど、また来ようという気持ちが自然にでてきて、愛着心がわきました。
また、子どもからご年配の方までワークショップに参加している様子は、とても和やかで、近所の方などもものめずらしそうに見学にこられて完成を楽しみしてました。私は、家そのものではなく、建てる過程を通じて環境、地域とのつながりを形成することが重要と考えており、今回のインタビューで自分がやるべきことに、さらに確信を得たように思いました。
インタビューを受けてくださった施主の荒井様ご家族、ありがとうございました。
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五十嵐 祥兵(遠野未来建築事務所 オープンデスク・スタッフ)
■写真1 たくさんの人が集まった内壁の土壁ワークショップ
■写真2 土壁の土をつくる建主さんご家族
・・・お子さん方が大きくなって、なぜこういう経験をお父さんが仕掛けたか
・・・何かを感じてくれたらと思います
遠野未来
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