入学試験で発覚した ネット・カンニング事件の報道をウォッチする。
不正行為を行った学生は、もちろん ケシカランことではあるけれど、
反省があるのなら、彼の将来まではつぶれないように、と願うところ。
性悪説にのっとって 受験生を取り締まれ。‥という意見を目にする。
なるほど、保険会社出身の作家さんらしい発想で、悲しくも一理ある。
ただ 一言。
私たち建築家は この 性悪説 という言葉には トラウマ がある。
数年前の耐震偽装事件、いはゆる姉歯事件を発端にした建築基準法の
改正(改悪?)建築確認申請の厳格化への流れを実感しているからだ。
はたして、これで 建築の不正が減ると考えられるだろうか‥ 否。
煩雑化した申請は、審査する側も含め、作業量が膨れあがっただけだ。
もっと、そろしのは 規制の趣旨が忘れられ、規制だけが一人歩きし
かねないこと‥。
“アルミサッシ の 有効開口寸法は クレセントから測ること。”‥
真顔の指導が こんなお笑いの域に あるぶんには、まだよいけれど
規制は それを行使するがわの 権力 となってしまいかねない。
もちろん
不正をはたらくものへの対処は、厳正なものであるべきであろうけど
不正の防止を口実にした、規制の強化は とても 恐ろしい面がある。
すくなくとも 世の中 ぎくしゃく させてしまう。
これは、よろしくない。
私は思いますが、みなさま いかに。
このコラムの執筆専門家
- 岩間 隆司
- (東京都 / 建築家)
- 株式会社ソキウス 代表取締役
スマートに シンプルに 住う。 都市型住宅・集合住宅
都市の厳しい条件のもとでも、住宅や集合住宅を実現させてきました。住宅計画における制約は、生活空間に個性が生まれる、ひとつの契機として、ポジティブにとらえております。
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