「こっ、この辺に迂回路無いかなあ」「迂回路?そんなもん無い」「あ。そう・・・・」いかん会話が続かない。
奇妙な間が二人の間に流れた。「ちょっとまっとけ!」その男が仲間の方へ歩いて行った。
なにやら指図している。やおら数人の男がその辺から石やらコンクリートの塊を持ってきた。いよいよフロントガラスが気になりだした。
逃げ出すタイミングをずっと探していたがちょっと様子が変わってきた。
段差の出来た橋桁にコンクリート塊を置いて即席のスロープを作り出した。概ね出来あがったところでリーダーが手招きする。
右オーライ左オーライと言う風に細かく気を使ってくれる。言われるままに車を動かして橋を渡った。
向こう側に出来ている下りの段差にもスロープを作ってくれていて最後に 「大阪へいくんか。気いつけや」と手を振って見送ってくれた。
開放感と安堵感が交差し不覚にも落涙した。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
06-6714-6693
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