人は、「何々をやれ」と言われても、そう簡単には心が動きません。言われたからやる、やりたくないけどやる、しょうがないからやる、給料をもらっているからやる、怒られるからやる等々、必ずしも「やりたいからやる」という状況ではない場合が多いものです。
心のベクトルとは違って物事をやる場合、またはやらされているという認識の元に行っている場合は、疲れやすくストレスも溜まりやすくなります。逆に自分がやりたいことをやっている場合、仕事であれ趣味であれ、それがどんなに時間が掛かろうが、どんな困難なことであろうが、たとえ睡眠を惜しんだとしても、疲れにくくストレスは溜まりにくいものです。また、持続したり推進したりする力、困難に立ち向かう力、問題に正面から取り組む力など無限なパワーをも生んでいきます。
それは、少年院の子どもたちに更生を促す場合も同様です。「犯罪をしてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない」と言うだけで、子どもたちは立ち直ることができるでしょうか。答えはNOです。なぜか、それは本人がそれをやろうと思っていないからです。それでは、本人が自ら「やる気」を得るために、少年院ではどのようなことを行っているのか。その一つに「役割交換書簡法」という心理療法があります。
実際には出しませんが、お母さんに宛てて手紙を書いてもらいます。次にお母さんになった気持ちでその返信を書いてもらいます。それを何度か繰り返すうちに、子どもたちは涙で筆が進まなくなります。相手の立場で物事を考えられる様になり、反省や感謝の気持ちが芽生え、自己洞察が進み「気づき」を得られるようになります。この「気づき」があって初めて「やる気」が起こるのです。
「やる気」は人が与えられるものではなく、本人が「気づき」を得る以外にありません。
このコラムの執筆専門家
- 見波 利幸
- (東京都 / 主席研究員)
- 主席研究員
感動を伴う研修こそが、効果のある結果が出る研修です
人は必ず成長します。感動する事で心を開き、自分を見つめるからこそ「気づき」が生まれます。人は「気づき」さえ生まれれば、もう既に80%は変わっています。更に、「やって行きたい」という気持ちが加わる事で、真の行動変容が可能となります。
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