歌は世につれ世は歌につれ、という言葉がありますが、動物達の病気も時代の流れとともに変化していくものです。
これは地球温暖化が影響しているわけでも、もちろん不況が影響しているわけでもなく、その時代時代に流行る犬種によって、来院される患者さんの病気も変わっていくのです。
たとえば今で言うとダックスフンドやチワワ、トイプードルなどの小型犬種がよく来院されます。
特にダックスフンドブームは10年近く続いており、病院で診療していると右を見てもダックス、左を見てもダックスという状態です。
そんな中、顕著に増えてきたのが椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患。
背骨の椎間板という部分で起こる問題で、場合によっては下半身不随などにいたることもある怖い病気です。
最近はテレビの動物病院特集などで、車椅子に載ったダックスフンドの映像が流れることも多く、ご存知の方も多いかと思いますが、10年位前は私が勤めていた整形外科中心の動物病院でも、年に3,4例の手術がある程度でした。
それが最近では、手術にまでは至らない軽度のものを含めると月に30~40例は来院され、手術にいたるような重症例は月に3~4例来院されます。
十年前には到底想像できなかったことですが、今では毎日いつ椎間板ヘルニアの手術が緊急に飛び込んできても対応できるよう、手術器具を数セット用意し、常に準備しておかなければいけない始末です。
誤解しないでいただきたいのですが、だからといってダックスフンドを購入したことをけして後悔しないでほしいのです。
確かに椎間板ヘルニアは恐ろしい病気かもしれませんが、その情緒豊かな性格は飼い主さんに力いっぱい愛情を表現してくれますし、好奇心旺盛なその知性を伸ばしてあげればいろんな芸も覚えてくれます。
一緒にいるだけで日常を楽しくしてくれる素敵な犬種です。
世の中完璧な人間がいないように(たまにブラウン管の中にはいますが)、完璧なワンちゃんなどいないのです。
その子のよい点も悪い点もひっくるめて受け入れるのが「飼う」ということなのかもしれません。
恐れることはありません。
要は、自分の飼っている犬種のウィークポイントが何なのか、そしてそれを補うためにはどうすれば良いのかをきちんと把握すれば良いのです。
機会があれば椎間板ヘルニアの予防について書いてみたいと思います。
このコラムの執筆専門家
- 沖田 将人
- (富山県 / 獣医)
- アレス動物医療センター センター長
地域に密着したワンランク上のホームドクターを
アレス(Alles)とはドイツ語で「あらゆること」を意味します。インフォームドコンセントの充実、年中無休、CTスキャナ導入など動物たちの幸せにつながることなら、飼い主様のあらゆる要望にお応えしたい。そんな願いを込めて診療に取り組んでいます。
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