
- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
日本は世界でも有数の長寿国であり、高齢化が進んでいます。これは喜ばしいことである一方で、社会保障制度、特に医療保険や介護保険制度の持続可能性に対する大きな課題を突きつけています。今回は、制度の持続可能性を確保するために避けて通れない3つの課題に焦点を当て、考えていきたいと思います。
1. 保険給付の効率的な提供
まず、保険給付の効率的な提供は喫緊の課題です。医療技術の進歩や高齢化に伴い、医療費は増加の一途を辿っています。しかし、財源には限りがあります。そこで、本当に必要な医療や介護サービスを必要な人に届けられるよう、給付の仕組みを見直す必要があります。例えば、重複受診や過剰な投薬を減らすための取り組みや、在宅医療や地域包括ケアシステムの推進などが考えられます。ICT(情報通信技術)を活用した遠隔医療やオンライン診療の普及も、効率化に貢献するでしょう。
2. 保険給付範囲の見直し
次に、保険給付範囲の見直しも重要な課題です。現在、保険給付の対象となっているサービスの中には、本当に必要なものとそうでないものが混在している可能性があります。医療技術の進歩によって、かつては治療困難だった病気が治るようになった一方で、高額な治療法も増えています。どこまでを保険給付の対象とするのか、国民的な議論が必要です。予防医療や健康増進への投資を増やすことで、将来的な医療費の抑制に繋がる可能性もあります。
3. 高齢化・人口減少下での負担の公平化
そして、高齢化・人口減少下での負担の公平化は、最も難しい課題の一つです。現役世代が減り、高齢者が増える中で、社会保障制度を支えるための負担は現役世代に偏りがちです。しかし、将来の高齢者も今の現役世代です。世代間の公平性を保ちつつ、制度を持続可能なものにするためには、幅広い世代が納得できる負担のあり方を模索する必要があります。例えば、高齢者の所得に応じた負担の見直しや、資産を活用した負担の仕組みなどが考えられます。
これらの課題は、一朝一夕に解決できるものではありません。しかし、目を背けることなく、国民全体で議論し、知恵を出し合い、少しずつでも前に進むことが大切です。社会保障制度は、私たち一人ひとりの生活を支える大切な基盤です。次世代に負担を先送りするのではなく、今を生きる私たちが責任を持って、制度の持続可能性を確保していく必要があります。
未来の世代も安心して暮らせる社会を目指して、私たちは今、何をすべきかを真剣に考え、行動していく時が来ています。
このコラムの執筆専門家

- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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