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市原 真二郎
(カイロプラクター)

閲覧数順 2024年12月11日更新

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ウツの原因は残業だけではない!若手社員のメンタルを翻弄する、上司の「一方的な指示・命令」の害毒とは?

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今回も「自殺」の話題からスタートとなります。自殺など暗い話題のコラムが続く、とお感じの方がいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。暗い話題の後には、たっぷりと「明るい話題」が続きます。もう少しのご辛抱をお願いします。

元電通の若手社員、高橋まつりさんが過労自殺して、12月25日で5年が経ちました。同日朝のNHKニュースで、高橋さんの母親がインタビューを受けており、過労自殺防止の運動に奔走した5年間を、感慨深く振り返っておられました。

高橋さんは2015年4月、電通に新卒で入社しましたが、本採用後の同年10月から業務量が急増し、1か月の時間外労働が130時間を超える程までになりました。そして高橋さんは同年12月25日に、享年24歳で飛び降り自殺しました。

労働基準監督署は高橋さんの自殺を、過大な長時間労働が原因であると判断し、労災認定しました。しかし一方で、管理職などによるパワハラやセクハラなどもあったというSNSでの書き込みもあり、真相は闇に包まれている面もあります。

高橋さんの母親の訴えが厚労省なども動かして、企業に於ける長時間労働を是正する動きが本格化しました。一頃ヒットした「ブラック企業」や、今も官民で合言葉となっている「働き方改革」というキーワードも、そうした動きから派生しました。

そのようなムーブメントによって長時間労働は、確かに軽減しました。毎日のように深夜まで社員が働くブラック企業も、ひと頃より減少しています。そのような意味からは、高橋さんの母親の活動は報われた要素がある、と言えるでしょう。

しかし現実は厳しいものがあります。長時間の「ブラック労働」は以前に比べ減ったものの、肝心の「ウツなどメンタル不調」は、むしろ増加の一途を辿っています。そして一たん減少していた自殺も、今年に入って急増に転じてしまいました。

厚労省や企業関係者などからよく耳にするのは、「働き方改革は確かに、残業が減るなど一定の効果が出ている。しかし企業現場でウツが出るのは、現実に止むを得ない・・」などという、一見して諦めにも似た悲観的な現状認識です。

しかしウツなどメンタル不調の原因は、長時間労働だけではありません。前回までのコラムでは、まじめな社員や管理職への仕事のシワ寄せ、昇進のストレス、裁量権の無視、達成感のなさ等が、ウツなどの原因になり得るとお話しました。


そして職場に於ける最大のストレス要因と言えそうなのが「コミュニケーション」の問題です。実際にウツ症状などでクリニックを受診する方々が訴える事情で、常に多数派を占めるのが「職場のコミュニケーションが悪い」という類の話です。

よくありがちな職場に於けるコミュニケーション上のトラブルとして、一つには上司や管理職が若手社員に対し、「話を聞いてくれない」とか「一方的に指示・命令する」「俺の言った通りにやれ」などといった強圧的なパターンが挙げられます。

このような一方向的な対応をされた若手社員は自主性を失い、指示や命令を待つだけの受動的な社員になってしまいます。職場は活気と創造性がなくなり、ストレス増大からウツなどメンタル不調を発症する社員が続出しかねません。

このような事態を避けるには、管理職や上司は若手社員の話に耳を傾け、その意見や感情を尊重し、自主的に考えて行動できるような環境整備に努める必要があります。それによって若手は成長し、活気あふれる職場となっていくのです。

悪いコミュニケーションの典型例の一つに「パワハラ(パワーハラスメント)」があります。管理職や上司が若手社員に対し、ちょっとしたミスや不注意、成績不振などを過剰に叱責する、個人攻撃する、人格を否定する、などの攻撃的な言動です。

パワハラを働いてしまう上司にしてみれば、部下が思うように成長してくれない、自分自身が忙しい等の事情もあるかも知れませんが、このような扱いを受けた部下は心にトラウマを抱え、ウツなどメンタル不調に発展しかねません。

パワハラの問題を重く見た厚労省など官庁と経済界が「パワハラ対策」に取り組んだ結果、「パワハラ上司」は確かに減少しました。メンタル不調で来院する社員が「上司からパワハラを受けた」という訴えが、ひと頃より減少したのは確かです。

しかし一方で、職場内に於ける「陰湿なイジメや差別」は、むしろ増加しているようです・・(続く)

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