- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
前回こちらでお伝えした通り、「医療と介護の更なる連携」というテーマで、4回にわたりコラムを書かせていただきます。
前回は第0回ということでしたが、今回が実質1回目。
オンラインによるサービス担当者会議(以下「坦会」)やカンファレンス等の実施について、コロナ感染対策に伴う臨時的な実施を恒常化してはどうか、について。
先月の介護給付費分科会で委員から意見がありましたが、基本的には大賛成。使える手段はどんどん利用すべきだと思います。
ただでさえ、介護や医療はサービスの非貯蔵性という特性があり、かつ現場サービスは非接触とかテレワーク等には当然ながらなじめません。
しかし事務作業であれば、工夫の余地があります。
身体的介護や生活援助的サービスでは不可能ですが、ケアマネさんのお仕事やサ責の事務仕事等であれば、業務の一部を遠隔化したりクラウド使ってテレワーク等をしたりするのが十分可能です。
今回議論に上がった坦会の場合、本人やご家族がデバイスを保有しているのであれば、十分対応できます。
恐らく、デバイスを所有していない方の方が多いかもしれませんが、その場合はケアマネさんが当該ご利用者様宅へ訪問し、事業所から持参したタブレットをセッティングし、他サービス事業所の関係者はオンラインで担当者会議を行う。
そもそも、坦会については「照会」といって、FAX等での意見聴取ができていれば招集しなくても問題はありません。
しかし、どうしても直接意見をお聴きしたいということもたくさんあります。
そういう場合に、どうしても関係者に参加を要請しなければならず、特に介護度が高くたくさんのサービスを利用されているご利用者様の場合には、サービス担当者を合わせると10名前後になることもあります。
しかし、参加者を利用者様とケアマネさんに限れば、他サービス事業所の方々が直接出向かれなくても3密は避けられます。
病院での退院前カンファレンスも、入院患者様は病院内にいらっしゃるわけですから、本人がタブレット等のデバイスを持っていなくても病院が貸してあげれば済みます。
退院前カンファレンスについては、過去に私も数えきれないほど参加したことがありますが、結構負担です。重要なカンファレンスであることは重々承知していますが、時間を調整するだけでなく時には遠方へ出向くこともあり、時間が取られてしまいます。
今時、介護・医療従事者(特にケアマネやサ責、サービス事業所管理者といった管理的な仕事をされる方)で、PCやスマホを使えないという方はさすがにいないでしょう。
Zoomも、ミーティングに参加するだけでしたら何も難しい作業は発生しません。
事業所がオンラインミーティングのやり方等を研修で行うようにする。または、事業所内研修でも使えばよい。できないことはありません。
デバイスの確保も必要でしょうが、これは事業者が必要経費として用意すべきです。
個人的には、ケアマネ1名につき1台貸与させてもよいと考える位です。そうすれば、利用者様がデバイスを持っていなくても対応はできるはずです。
事業者は、ここを必要経費を認識していただき、体制を整えるべきです。今、IT導入補助金もあるのですから、そういうものを活用して整備すべきです。
国も、現場の作業負担削減のために本気でオンライン化に取り組むのならば、補助金以外にも何らかの対応(例えば加算等の新設)をしてもよいと思います。
さらに、坦会における医師の参加率が非常に低い。
中には、訪問診療で非常に熱心で患者様ファーストの素晴らしい先生もたくさんいらっしゃり、時間の許す限り参加してくださる方もいます。
しかし、医師は忙しいこともあり、また坦会に対する重要性を認識されていない先生も、残念ながらたくさんいるのも事実です。「照会」文の作成を依頼しても、露骨に嫌な顔をしたり、ご提出いただいても中身の薄い(まったくやる気がない)文章をよこしてきたり等、医師側に問題があるようにも思います。
オンライン化できれば、先生は診察の合間にアクセスし、一言二言でも参加者にアドバイスもできる。チャット機能もあるのですから、話せなくてもチャットでやり取りもできます。
要は、医師側が提言する前に、意識を改める必要があるのではないでしょうか。
周囲は、医師に気を遣い、極力医師の機嫌を損ねないように配慮している部分がいまだにあるのです。
本来は対等な立場なはずなのに、なぜそこまで過度に気を遣わなくてはならないのか。
そこの改革が必要なのではないでしょうか。
こんなことを申してしまうと、この後に続くトピックすべてにおいて同様になってしまうのですが、相互理解が不可欠です。
もう、プライドとか威厳とか、そんなくだらないことはどうでもよく、「利用者様ファースト」に立つことで、ずいぶんと変わっていくのではないかと思うのです。
前述の通り、オンライン化は大賛成。あとは、通信機器の整備と意識の改革です。
必要性を感じているのに実施しないなんて、とんでもないこと。
一般論を分科会で論じるのは必要でしょうが、大事なのは各論です。各論になると、一気に口をつぐんでしまいがちですが、それは単なる逃げです。
コロナ禍による影響が、今後もしばらく続くと言われている今、もう問題の先送りは許されません。
次回、「ケアマネが医療側に提供する情報に不足あり」というトピックについて述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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