- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『宅配、広がる「ウーバー流」 隙間時間に運転手副業 アマゾンも個人配送網』に関する考察
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こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
8月17日付の日経新聞に、『宅配、広がる「ウーバー流」 隙間時間に運転手副業 アマゾンも個人配送網』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『配車サービス「ウーバー」の物流版といえる個人配送が本格的に広がり始めた。スマートフォンのアプリを用い、空き時間に荷物を配る。大量の荷物を扱うアマゾンジャパン(東京・目黒)はこうした個人を活用した配送網の構築に乗り出した。国内の宅配便数は急増し、運転手不足も深刻ななか、自由度の高い働き方が注目されつつある。長引く物流危機の解決策になる可能性もある。。。』
このインターネット通販を支えるプラットフォームの一つが、宅配事業です。国内では、2016年~2017年に「宅配クライシス」と呼ぶ状態が顕在化しました。
このとき、国内の最大手であるヤマト運輸は、2017年9月にアマゾンジャパンとの運賃交渉の結果、40%強の運賃値上げに合意しました。
ヤマト運輸がこのような動きをかけた背景の一つに、インターネット通販の利用者急増で、運転手が足りない状況が深刻化したことによります。
これ以降、ヤマト運輸が総量抑制で宅配便の荷物数を抑えて、当日配送も行っていませんでした。
しかし、この期間にも、インターネット通販のビジネスは伸び続けていました。この状況下、アマゾンジャパンは、米Amazon.comの今までの動き方から、必ず次の一手を検討・実施してくると想定しました。
米Amazon.comの米国での動きをみていると、インターネット通販を支えるプラットフォームの一つである物流を、自社で押さえるやり方を取っています。
国内では、2017年にヤマト運輸が人手不足から、当時配送から撤退したことで、物流事業のやり方に変革が起こるきっかけになりました。
一方、国内には数多くの個人事業主の宅配事業者や中小の運送会社が存在しています。
この中で、関東の中小運送会社でつくるラストワンマイル協同組合は、5月に2020年、インターネット通販の売れ筋商品を安く宅配するサービスを始めると発表しています。
アマゾンジャパンは、個人事業主を主とする宅配事業者を主として、営業ナンバーをもつ軽貨物車の所有者向けに、個人配送網の構築・運営を行い始めました。
アマゾンジャパンは、このサービスをアマゾンフレックスと名付けています。アマゾンジャパンは、ヤマト運輸との新契約締結後、中堅・中小の運送会社と提携して、独自の配送システムを構築・拡大してきました。
アマゾンフレックスは、その一環になります。アマゾンジャパンにとって、アマゾンフレックスはより柔軟に、自社独自の物流網を築く切札の一つになります。
一般的に、多くの個人事業主である宅配事業者は、中堅・大手運送業者の下請仕事が主要な仕事獲得になります。
アマゾンフレックスは、2時間単位のシフト制で、2時間で首都圏4000円の報酬であり、毎週自分の銀行口座に振り込まれます。土日や雨の日には報酬が増えます。
配送ルートは、スマートフォンやタブレット端末のアプリソフトで表示されます。
このアマゾンフレックスのやり方は、個人事業主の宅配事業者が、自分のすき間時間に自分の判断で仕事ができ、報酬も明示化されており、「win/Win」の関係が成り立ちます。
アマゾンフレックスは、固定化した国内物流基盤を、破壊・再構築するきっかけになる可能性があります。
米Amazon.com、グーグル、アップル、フェースブック、ウーバーなどの米大手IT企業は、今まで急速に既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。
アマゾンフレックスは、ウーバーのやり方を取り入れて、上記しましたように、固定化した国内物流基盤を、破壊・再構築することになる可能性があります。
貨物だけでなくバスなどの運転手が不足していることは、常態化しています。一方で、アマゾンフレックスのように、既存のやり方にとらわれずに、インターネット・ITを活用して、新規発想のやり方でディスラプション(Disruption);破壊を起こす、ベンチャー・中小企業の出現を期待します。
何度か本ブログ・コラムで書いていますように、「必要は発明の母」です。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
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- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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